
1on1ってやるように言われたけど、毎回何を話せばいいか分からなくて……



雑談で終わっちゃって、これ本当に意味があるのか?って正直思う
——そんなモヤモヤ、続いていませんか?
IT企業でマネージャーとして働き、現在も10人ほどの部下と定期的に1on1を行っているわたし(めのめ)も、最初はまったく同じ状態でした。
「何を話してもらえばいいんだろう」「これで部下の役に立っているのかな」——そんな不安を抱えながら、手探りで続けていた時期があります。
転機になったのは、「1on1で話すことがない」は上司の準備不足のサインだと気づいたことです。
準備の仕方、質問の選び方、部下のタイプへの向き合い方を変えたら、1on1の手ごたえが大きく変わりました。
この記事では、1on1前の準備・場面別の質問例20問・部下のタイプ別アプローチを、わたしの実体験とともに解説します。
記事を読み終えるころには、次の1on1で使えるひと言が手元に残っているはずです。
部下として1on1に臨む方はこちらも合わせてどうぞ。


1on1の目的を上司が再確認する


「1on1が盛り上がらない」という悩みの多くは、そもそも上司自身が1on1の目的を腹落ちしないまま進めていることから来ています。
1on1の主役は部下です。
上司の役割は「話す」ことではなく、部下が自分の考えや感情を安心して引き出せる場を整えることです。
- 部下が本音を話せる心理的安全性の確保
- 自分で考え・行動できるよう質問で引き出すこと
- 過去のやりとりから関連性や連続性を持たせて関係を積み上げること
1on1の趣旨が部下に伝わっていない場合は、1on1自体をテーマにして話す時間を設けてみてください。「この時間はあなたが話す場です」と明示するだけで、部下の姿勢がガラッと変わることがあります。
部下が「何を話せばいいか分からない」と感じているなら、それは上司が目的を共有できていないサインです。



「話すのは部下」というスタンスを腹落ちさせるまでが一番時間がかかりました。「何か気の利いたことを言わなきゃ」と思っていると、1on1はずっと苦しいままです。
心理的安全性が高いチームをつくるヒントはこちら。


1on1前にやるべき準備3つ


「話すことがない」を防ぐ最大の対策は、1on1の場でなんとかしようとせず、事前の準備で8割を決めてしまうことです。
前回の記録を必ず読み返す
1on1は単発ではなく連続した対話です。前回の記録を5分読み返すだけで、「あのとき話していた件、どうなった?」という自然な話の入り口ができます。
部下は「覚えていてくれた」と感じ、信頼感が積み上がります。逆に何も覚えていない状態で臨むと、それだけで信頼を失います。
「今週気になること」を1つメモ
「今週、あの部下の表情がいつもと違った」「ちょっとミスが増えているかも」——そういう小さな観察を1つだけメモしておきます。
それを1on1の冒頭でそっと確認するだけで、「ちゃんと見てくれている」という安心感を部下に与えられます。日常の観察が、1on1を10倍深くします。
部下の状況を事前に把握する
今週の案件進捗・体調・プライベートの変化を、事前に軽く頭に入れておきます。プロジェクト管理ツールを確認したり、チームの日報を読んだりするだけで十分です。
「あのプレゼン、先週あったよね。どうだった?」のように、具体的な文脈で話しかけられると、部下は「話を聞いてもらえる」という感覚を持ちやすくなります。
準備に使う時間は10分以内で十分です。それだけで1on1の質は別物になります。



「準備なしで1on1に臨んでいた時期」と「記録を読み返してから入る今」では、部下との会話の深さがまったく違います。この差を体感してから、準備を絶対に省かなくなりました
部下の話を引き出す|場面別の質問例


上司が1on1で使う質問は「部下が答えやすいか」で選ぶのがすべてです。
以下は、わたしが実際に使って「部下が話してくれた」と感じた質問を、場面別に整理したものです。
質問はすべてオープンクエスチョン(Yes/Noで答えられない質問)が基本です。
オープンクエスチョンっていっても、「最近どう?」のような漠然とした質問は、部下を困らせるだけなので要注意。
オープニング質問|場を和ませる
1on1の最初の1〜2分は「場を温める」ための時間です。
いきなり業務の話をしても、部下の緊張が解けないまま終わることがあります。
- 今週、一番印象に残ったことは何ですか?(仕事でも、それ以外でも)
- 前回話した〇〇の件、その後どうなりましたか?
- 昨日は研修にいったんですよね?学びはありましたか?
- 最近でうれしかったこと、小さなことでもいいので聞かせてください。
- 仕事以外で最近はまっていることはありますか?



「前回話した件」から入ると、記録を読み返していることが自然に伝わります。これだけで部下が「ちゃんと覚えてくれている」と感じてくれることが多いです
業務深掘り質問|困っていること
業務の話は1on1の核ですが、「報告を聞く場」にしてはいけません。
「どこで詰まっているか」「次に何をしようとしているか」を引き出すのが目的です。
- 今週の業務で、一番難しかった場面はどこでしたか?
- 今、困っていることや壁にぶつかっていることはありますか?
- このプロジェクト、今後どう進めようと考えていますか?
- 次にやりたいアクションがあれば、教えてもらえますか?
- 今の業務量について、どう感じていますか?



「次にやりたいアクション」を聞くのがポイントです。解決策を上司が出すのではなく、部下自身に考えてもらう。1on1の本質はここにあると、何度も失敗して学びました
成長・キャリア質問
キャリアの話は「重たい話」に聞こえますが、日常の1on1でも小さな形で触れることが大切です。
「大きなキャリア相談」でなくても、次の5問からライトに入れます。
- 最近、成長できたと感じる瞬間はありましたか?
- 今の仕事の中で、やりがいを感じるのはどんなときですか?
- もっと伸ばしたいスキルや、やってみたい仕事はありますか?
- 半年後の自分にどうなっていたいか、少しだけ話してみてください。
- 今の仕事で、自分が一番貢献できていると感じる場面はどこですか?



「半年後どうなりたいか」はちょっと大きな問いですが、目標設定のようなコミットするものではないと伝われば、意外と部下が話してくれます。「思いつきでもいいよ」と前置きするのがコツです
NG質問例|話を止めるパターン
良かれと思って使ってしまう質問の中に、部下の話を止めてしまうものがあります。
わたし自身も使ってしまっていた5つを共有します。
- 「なんで報告しなかったの?」→ 責められていると感じ、次から話しにくくなる
- 「うまくいってる?」→ 漠然としていてYes/Noしか返ってこない
- 「〇〇したほうがいいんじゃない?」→ 答えを先に出すとコーチング効果がゼロになる
- 「特に問題ない?」→ 問題があっても「ない」と答えやすい誘導になる
- 「最近モチベーションどう?」→ 抽象的で何を答えればいいか分からない
共通点は「答える余白が狭い質問」です。部下が話しやすい質問かどうか、送り出す前に一度チェックしてみてください。



相手が業務に関連する話をしたときに、現場の状況がきになり「それ、ちゃんと把握したいから詳細教えて」という質問も本質から脱線させる問いです。必要な場合は、業務報告は別の場を設けましょう。
部下のタイプ別アプローチ


同じ質問を全員に使っても、部下によって反応はまったく違います。
部下のタイプ・状態によってアプローチを変えることが、1on1の質をさらに上げます。



タイプ別って言っても、どうやって見分ければいいんだろう……
大きく4つのパターンに分けて整理しました。「あの部下、このタイプかも」と照合しながら読んでみてください。
話し好きな部下
話してくれること自体はありがたいのですが、業務の表面的な話や愚痴で終わりがちです。
「深い話」に誘導するには、上司側が意図的に切り替えのきっかけを作ることが必要です。
- 「今の話で、一番あなたが大事だと思うポイントはどこですか?」と深掘りする
- 雑談が長くなりそうなら「キャリアの話に移っていい?」と声をかける
- 「前回と今回で変わったことはある?」と連続性を持った質問で深さを引き出す



話し好きの部下に対して上司が黙ってうなずくだけで時間が終わると、お互い何も得られません。「整理してもらう質問」を意識的に入れることが大事です
口数が少ない部下
「特にないです」「今は大丈夫です」が口癖の部下には、YesかNoで終わる質問をしてはいけません。
まず「正解を求めていない質問」から入り、話しやすさを作るのが先決です。
- 「最近で、ちょっとでも楽しかった場面はありましたか?」と小さな問いから入る
- 沈黙を怖がらず、10秒待ってみる(待てる上司は信頼される)
- 上司側が先に自己開示する。「わたしも最近ここで悩んでいて」と見せると話しやすくなる
- 話してくれたことは必ず「ありがとう、話してくれて」と受け取る



沈黙を埋めようとして質問を重ねると、部下が追い詰められます。10秒待つのは思っているより長く感じますが、それが部下に「考える時間を尊重してくれている」と伝わります
悩みを抱えているサイン
表情が暗い、反応が鈍い、ミスが増えている——そんなサインが出ている部下への1on1は、業務の話より先に「今どんな状態か」を確認することが優先です。
- 「最近ちょっと気になっていて」と観察を正直に伝え、聞いてみる
- 「この場で話してくれたことは、他には言わない」と明示する
- 解決しようとしない。まず「そうだったんですね」と受け取ることを先にする
- 1回の1on1で解決しようとしない。「次回もゆっくり聞かせて」とつないでおく



「なんか最近元気ないよね?」と聞くより、「先週の〇〇のあとから少し様子が違う気がして」と具体的に伝えると、部下が「ちゃんと見てくれていたんだ」と感じて話してくれることが多いです
最近部下の様子がおかしい…と感じた方はこちらも読んでみてください。


やる気が下がっている部下
「最近なんとなくやる気がない」という状態は、放置すると静かな退職に発展することがあります。
ただし、「なんでやる気がないの?」と直接聞くのは逆効果です。
- 「最近の仕事で、やっていてよかったと思える場面はありましたか?」と小さな肯定から入る
- 以前との変化を「最近、〇〇が少なくなった気がするけど、何かある?」と観察ベースで伝える
- 期待を伝える。「あなたには〇〇で活躍してほしいと思っている」と言葉にする
- 「仕事で変えたいことがあるとしたら何?」と自分事として考えてもらう問いを入れる
「期待されている」と感じることが、やる気を取り戻すきっかけになることは少なくありません。言葉にしなければ伝わらない、と覚えておいてください。



肯定するときは具体的には自分の言葉で伝えることが重要です。例えば「あなたはいつも通りこなしているといったけど、上司の視点だとそれを繰り返し安定して任せられることがありがたい。他にできる人が多くないから甘えてしまっていたけど、他に挑戦してみたいことはありますか?」
めのめMEMO
部下を肯定するときは、具体的に、自分の言葉で伝えることが重要です。
たとえば、「あなたは『いつも通りこなしているだけ』と言っていたけれど、上司の立場から見ると、それを繰り返し安定してお願いできることが本当にありがたい。他にできる人が多くないから甘えてしまっていた部分もある。もし他にチャレンジしてみたいことがあれば、ぜひ聞かせてもらえますか?」といった伝え方です。
「すごいね」「さすがだね」といった一言で済ませるのではなく、何が・なぜ助かっているのかを具体的に言語化することで、相手は自分の貢献を実感しやすくなります。
向上心がなくなった部下への向き合い方はこちらも参考にどうぞ。


1on1後のフォローと記録術


1on1の価値は、終わった後にも続きます。
フォローと記録を丁寧にするかどうかで、次回の1on1の質が大きく変わります。
記録に残すべき項目
わたしは複数の部下と並行して1on1を行っているため、記録なしでは記憶が混ざってしまいます。
実際に記録している項目を共有します。
- コンディション(元気があるか、反応がいつも通りか)
- 良いと感じた成果・プロセス(具体的に)
- 印象的な考え方・価値観・思考方法
- 本人の強みと感じたポイントとその理由
- 開示してくれたパーソナルな情報
- 具体的にフィードバックしたこと
- アクションプラン(次回確認すること)
記録する際は「事前に部下に伝えてください」。評価の場ではないと言いながら記録していると、部下に誤解を与えて信頼を失うリスクがあります。



「記録しているって言ったら嫌がられないかな」と思っていましたが、正直に伝えたら「次も話してみようと思えます」と言ってくれた部下がいました。透明性が信頼を作ります。
次の1on1につなげる方法
1on1を「連続した対話」にするために、終わりの2分でやっておくことが2つあります。
- アクションプランを一言で確認する:「次回までに〇〇してみようか?」と言葉に出して共有する。コミットをさせる必要はないが、曖昧なまま終わると次回につながらない
- 「話してくれてありがとう」を必ず言う:部下にとって自己開示は勇気のいる行為です。受け取ったことを言葉で返すだけで、次の1on1でまた話してくれるようになります



「ありがとう」を言い続けた部下が、半年後に「最近1on1で話している内容で、仕事が回るようになってきました!」と言ってくれたときは、地味に嬉しかったです。積み上げの効果を実感した出来事でした。
オンライン1on1ならではの工夫


在宅勤務の普及でオンライン1on1が当たり前になりましたが、対面と比べると「雰囲気が読みにくい」「沈黙が重く感じる」という問題が出やすくなります。
- ビデオをオンにする:表情が見えないと信頼関係が育ちにくい。お互い顔が見える状態で話す
- 冒頭30秒は雑談を意識する:「今日は在宅?」「今日の天気どう?」など他愛のない話で場を温める
- リアクションを大きめにする:うなずき・相槌・表情は対面より意識的に出す。沈黙だと「聞いているかな?」と部下が不安になる
- 共有資料を使わない:資料を見せると「説明の場」になってしまう。1on1は会話の場に徹する
- 時間は短くても頻度を上げる:30分・週1回より、15分・週1回+ちょっとした声がけの方が関係が温まりやすい
オンラインでは「存在感を伝える」ことが対面の何倍も意識的に必要です。
リアクションの大きさと声がけの頻度が、オンライン1on1の質を左右します。



ビデオONについては、職場の雰囲気や文化の醸成状況によっては、ハードルが高いケースもあると思います。そのような場合は、例えば対面と組み合わせて、その後「対面orオンライン(ビデオ)」などで選ばせるなど、段階を踏んでみましょう。
「これから在宅勤務になる」「オンラインMTGって何を準備すればいいの?」という方はこちらからスタート


まとめ|話すのは部下、整えるのは上司


- 1on1の目的を部下と共有し、「話すのは部下・整えるのは上司」を腹落ちさせる
- 事前に記録を読み返し、観察メモを1つ持って臨む
- 場面別の質問例を使い分け、オープンクエスチョンで部下に話させる
- 部下のタイプ・状態に合わせてアプローチを変える
- 終わりにアクションを一言確認し「ありがとう」で締める
- オンラインではビデオオン・リアクション大きめで存在感を伝える



準備をしっかりして、次の1on1に臨んでみます



完璧を目指す必要はありません。まずは「記録を読み返してから臨む」だけでも、手ごたえが変わるはずです。
1on1は毎回うまくいかなくてもいい。
大切なのは「また話してもらえる関係」を少しずつ積み上げることです。
次の1on1の前に、今日の記事を1つだけ試してみてください。
「部下に悩む上司」向けのシリーズはこちら




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