初めて後輩がついたとき、何から教えればいいのか迷いませんでしたか。
放っておくのは違う気がするし、手取り足取り教えるのも違う気がする。

ちゃんと育てなきゃ。でも、自分の仕事も回さないといけない…
わたしが新人だった頃、最初の1か月ほど、ほとんど仕事をもらえない時期がありました。
先輩に聞いても返事がなく、上司に相談しても「先輩に聞いて」と言われるだけでした。



「これやっといて」でいいから、何か仕事がほしい…
その経験があったので、入社4年目で初めて新人を任されたときは、放置だけはしないようにと考えていました。
それでもわたしは、「手を出しすぎ」と「任せすぎ」の両方で失敗しています。


いまは管理職として、いろいろな先輩と後輩の組み合わせを見る立場になりました。
この記事では、自分の失敗と、外から見るようになって分かった「伸びる先輩」と「空回りする先輩」の違いをお伝えします。
- 初めての後輩に、最初に渡しておきたいもの
- 「手を出しすぎ」「任せすぎ」で失敗した実例
- 伸びる先輩と空回りする先輩の違い
- 評価権のない先輩だからこそできること
管理職として部下の育成に悩んでいる方は、こちらの記事のほうが近いと思います。


最初に渡した”接点と置き場”


初めての後輩には、最初にいくつかのものを渡すようにしていました。
どれも手間はかからないのに、後輩が「聞いていいのか分からない」状態を減らせるものです。
“やらなくていいこと”も伝える
新人のうちは、何が大事で何を気にしなくていいのかが分かりません。
そこで、やってほしいことと一緒に、「今はやらなくていいこと」「考えなくていいこと」も伝えていました。
全部を同じ重さで受け取ってしまうと、新人はそれだけで手一杯になります。
「これは後回しでいい」と先に言っておくと、目の前の仕事に集中しやすくなります。
接点は毎日から間隔を伸ばす
後輩が話しかけにくいのは、きっかけがないときです。
そこで、最初は毎日話す時間を決め、慣れてきたら少しずつ間隔を伸ばしていきました。
あわせて、「この時間なら相談に乗れる」という時間帯も伝えていました。
決まった接点があれば、後輩は質問をまとめてから聞きに来られます。
資料の置き場を最初に教える
聞く前に自分で調べられる状態があると、後輩も先輩もラクになります。
関連する資料がどこにあるのかは、最初に場所だけでも伝えておくようにしていました。
それ以外は基本的に任せて、困ったら手伝う、聞かれたら答えるというスタンスでした。
指示待ちから少しずつ抜け出す考え方は、“ゆる自走”の記事にまとめています。
後輩本人に渡すなら、質問のしかたをまとめたこちらの記事が役立ちます。


手を出しすぎた失敗


最初の失敗は、後輩が壁にぶつかったときの関わり方でした。
詰まっているのを見ると、すぐに仕事を引き取ってしまっていたのです。
めのめMEMO
後輩が困っている様子を見ると、つい「そこはわたしがやっておくよ」と引き取っていました。
自分では、後輩がつらくならないように配慮しているつもりでした。
ところがあるとき、上司から「それは後輩の成長の機会を奪っている」と指摘されました。
あらためて考えてみると、わたしは後輩のためというより、自分の手間が増えないうちに早めに片付けていただけでした。
配慮のつもりの行動が、短期的に自分をラクにするためのものだったと気づいた出来事です。
手を出すかどうか迷ったときは、「これは後輩のためか、自分がラクをしたいだけか」と一度だけ自分に聞いてみてください。
引き取るのは、その答えがはっきり「後輩のため」だと言えるときだけで十分です。
答えを渡さずに考えてもらう関わり方は、上司と部下でも同じです。具体的なやり方はこちらにまとめています。


任せすぎた失敗


その後、別の後輩にはどんどん仕事を任せていきました。
ところが今度は、うまくいっているように見えていたことが、実は失敗だったのです。
めのめMEMO
その後輩は飲み込みが早く、任せた仕事をすぐに覚えてこなしていきました。
上司からも早く戦力にしてほしいと言われていたので、わたしは次々に仕事を渡していきました。
もちろん、後輩が失敗したときは一緒に謝りに行き、リカバリーするつもりでした。
実際、大きな失敗もなく、後輩は無事に仕事をやりきってくれました。
ところが何年も経ってから、当時のプレッシャーが本当にしんどかったと知りました。
わたしは長いあいだ、そのことにまったく気づいていませんでした。
任せることと、様子を見ないまま任せきりにすることは違います。
仕事をこなせているかどうかと、無理をしていないかどうかは、別々に確かめる必要があります。



できる後輩ほど、しんどさを口に出しにくいのかもしれません。順調に見えるときこそ、量がきつくないかを聞いてあげてください。
伸びる先輩と空回りする先輩


管理職になって、先輩と後輩の組み合わせを外から見るようになりました。
そこで気づいたのは、わたしの2つの失敗が、空回りする先輩の典型だったということです。
一人で抱え込むと空回る
後輩を大切に思っている先輩ほど、責任を一人で背負いがちです。
ですが、責任感があっても一人で抱え込む先輩は、問題を抱えやすいと感じます。
わたしが仕事を引き取ってしまったときも、後輩のことを自分だけで何とかしようとしていました。
責任感そのものは悪くありませんが、一人で完結させようとすると、どこかで無理が出ます。
自分と同じペースを求めない
自分がやってきたやり方は、どうしても正解に見えてしまうものです。
ですが、自分と同じペースで同じように育つことを無意識に期待している先輩は、うまくいきにくいです。
過去の自分の経験だけを教えていると、目の前の後輩の状況が見えにくくなります。
わたしが任せすぎたときも、仕事をこなしているかどうかだけを見て、本人のペースを確かめていませんでした。
上司の立場でも、同じ落とし穴があります。部下との関わり方はこちらで整理しています。


周りを巻き込んで育てる
では、後輩が伸びる先輩は何をしているのでしょうか。
周りの人を巻き込み、必要なサポートを引き出して、みんなで育てている先輩です。
こうした先輩は、後輩を自分とは違う人間だという前提で見ています。
うまくいかなければやり方を変え、迷ったら周囲に相談する。
その試行錯誤を通して、後輩だけでなく先輩自身も成長していきます。
- 空回りする先輩
一人で抱え込む/自分と同じペースを期待する/過去の自分のやり方だけを教える - 伸びる先輩
周りを巻き込む/自分とは違う人だと考える/迷ったら周囲に相談する
評価権がない先輩の役割


先輩には、後輩を評価する権限がないことがほとんどです。
だからこそ、上司とは違う立場から、長い目で後輩を見ることができます。
わたしは今も、評価する直属の上司が別にいる若手と関わるときは、上司とは違う視点でフィードバックするよう心がけています。
目の前の業務や評価は上司が見ているので、先輩は少し先の成長を見ていればいいと考えています。
一方で、上司と先輩の言うことが食い違うと、後輩は板挟みになります。
わたしも新人の頃、資料の直しで先輩と上司の指摘が食い違い、どちらに合わせればいいのか分からなくなったことがありました。
- 進め方まで任せてくれた
指示された作業ではなく「進め方まで自分で考えて」と任されたことは、今でも覚えています - ミスをかばってくれた
自分のミスを、上司や取引先の前でかばってくれた先輩は頼もしく見えました
任されてうれしかったのは、仕事で裁量を持てることが自分にとって大事だと初めて感じた瞬間だったからです。
評価する立場でなくても、こうした関わり方は先輩だからこそできます。



先輩の役割は、上司の代わりをすることではありません。上司とは違う角度から支えることだと思っています。
忙しくて見きれないとき


自分の仕事が忙しくなって、後輩を見る余裕がなくなる時期は必ずあります。
そんなときこそ、一人で抱えずに、関わり方の仕組みを変えることを考えてみてください。
自分の仕事への影響も含めて上司に相談し、一時的にフォローしてもらうか、フォローできる人を付けてもらいます。
後輩のことを一人で背負わないための、いちばん確実な方法です。
先輩に余裕がない時期は、後輩にとって新しい仕事に挑戦するきっかけにもなります。
普段より裁量の大きい仕事を任せてみるのもひとつの手です。
毎朝打ち合わせをしていたなら週2回にするなど、関わる頻度を見直します。
いきなりゼロにせず、少しずつ減らしていくのがポイントです。



STEP2は、任せすぎた失敗と矛盾するように見えるかもしれません。量と様子を確かめながら任せるのが前提です。
まとめ|一人で育てなくていい


初めての後輩を持つと、「ちゃんと育てなきゃ」と力が入りがちです。
でも、後輩は先輩一人で育てるものではありません。
- 最初に渡す
やらなくていいこと・決まった接点・資料の置き場 - 手を出しすぎない
引き取る前に「後輩のためか、自分のためか」を問う - 任せきりにしない
こなせているかと、無理をしていないかは別に確かめる - 一人で抱えない
周りを巻き込み、忙しいときは上司に相談する
手を出しすぎても、任せすぎても、うまくいかないことはあります。
わたし自身、その両方を経験しました。
だからこそ、迷ったときは一人で決めずに、周りを頼ってみてください。
部下や後輩との関わり方に悩む方向けの記事は、こちらにまとめています



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