「転職するなら秋がいい」——そんな話を聞いたことはありませんか。

今すぐ辞めたいわけじゃないけど、動くならいつがいいんだろう



秋がいいって聞くけど、根拠がよく分からない
結論からいうと、9月・10月に採用が動きやすいのは事実です。ただしそれには、ちゃんとした理由があります。


この記事では、会社員歴15年以上、現役で10名の部下を持ち、実際に中途採用の受け入れをしている立場から、秋に人が動く仕組みと、その前にやっておきたい準備をお伝えします。
- なぜ9月・10月に採用が動くのか(会計年度と予算の話)
- 受け入れる側から見て、いつ来てもらえると動かしやすいか
- 実は「時期」より大事なもの
- 選考と着任後、それぞれで差がつく準備
そもそも「転職する気はないけど活動はすべき?」という方は、まずこちらから。


なぜ秋に人が動くのか


「秋は求人が増える」とはよく言われますが、大事なのはなぜ増えるのかです。
ここを理解しておくと、自分がいつ動くべきかを自分で判断できるようになります。
日本企業は、会計年度が4月に切り替わる会社が多くあります。
すると9月・10月は、ちょうど下半期に向けた計画のアップデートと、その実行・予算執行が始まる時期にあたります。
- 下半期の計画を更新する
4月に立てた計画を、半年の実績を踏まえて練り直す - 達成に向けて足りない戦力を取りに行く
年度末に向けて予算の執行も始まるため、採用に動きやすくなる - 次年度の計画策定が始まる
来期を見据えた戦力の拡充や、人材ポートフォリオの調整が必要になる
つまり秋は、「今期の残りを走り切るための採用」と「来期を見据えた採用」が重なるタイミングなのです。



そして同じ理由で、この時期は退職される方も多いです。抜けた穴を埋める必要が出るぶん、さらに採用が動きます。
受け入れ側から見た動きやすさ


ここからは、応募される側・受け入れる側の実感をお話しします。求人サイトの統計には出てこない部分です。
めのめMEMO
現場で人を受け入れる中間管理職の立場でいうと、正直なところ4月や10月など、新しい計画を実行し始めるタイミングで組み込めるのがいちばん嬉しいです。役割を新しく設計しやすく、本人にも最初から任せる仕事を用意できるからです。
ただ、これはあくまで「やりやすさ」の話。実際のビジネスは流動的で、人手が本当に必要になるタイミングはいつでも発生します。だから、機会を活かせる即戦力の方には、正直いつでも入ってきてほしいというのが本音です。
つまり、「秋がベスト」は絶対ではありません。
秋は確かに動きやすい。けれど、あなたが行きたい会社に欠員や新しい役割が生まれるのは、必ずしも秋とは限らないのです。
“時期”より大事なもの


ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
受け入れる側が見ているのは、入ってくる時期そのものよりも「姿勢」です。
先ほど「即戦力ならいつでも来てほしい」と書きましたが、ここでいう即戦力とは、スキルや実績のことだけではありません。
- 自律的にキャッチアップできる
手取り足取り教わるのを待たず、自分で情報を取りに行ける - 主体的に成果を出そうとしている
与えられるのを待つのではなく、自分から動こうとしている - 自分自身のことを把握している
自分にできること、できないことを把握し、新しい現場でも効率的に動くことができる
逆に言うと、受け入れてもらう気満々の”待ち”の姿勢だと、スキルや実績が十分でも、中途半端な時期には歓迎されにくいのが実情です。手厚くフォローする余裕がない時期だからこそ、自走できるかどうかが見られます。
これは裏を返せば、姿勢さえ整っていれば、時期にこだわらなくてよくなるということでもあります。「秋を逃したら来年まで待とう」と考える必要はありません。



タイミングを待つより、いつ来てもいいように準備しておくほうが、結果的に選択肢が広がります。
差がつく5つの準備


では、具体的に何を準備しておけばよいのか。
選考の場面と、内定後・着任後の場面に分けて、実際に見ていて「これができている人は強い」と感じるものを挙げます。
貢献できることを言葉にする


まず選考で問われるのは、経歴そのものではありません。その経歴が応募先で何に変わるのかです。
自分の経歴やスキルと、応募する会社の状況を踏まえて、「自分はどんな成果を出せて、どう貢献できるのか」を説明できるようにしておきましょう。ここが曖昧なままだと、どんなに立派な実績でも相手には届きません。
受け入れる側は、あなたの過去を評価したいわけではありません。知りたいのは「うちに来たら、何をしてくれる人なのか」だけです。同じ実績でも、応募先が今どんな課題を抱えているかによって、語るべき切り口は変わります。
想定問答をつくっておく


意外と差がつくのが、聞かれる質問の想定です。ここは準備の有無がはっきり出ます。
あなたの経歴書を見て、採用する側なら当然聞くであろう質問——それにスムーズに答えられないと、準備不足、あるいは本気度が低いという印象を与えてしまいます。
たとえば、転職回数が多ければその理由を、ブランクがあればその期間に何をしていたのかを、実績の数字があればその再現性を——聞かれるポイントは、たいてい経歴書の上に書いてあります。自分の経歴書を、他人の目で一度読み直してみるだけでも、想定問答はかなり作れます。



今はAIを使えば想定問答は簡単に作れます。経歴書を読ませて「面接官なら何を聞くか」と尋ねるだけでも、かなり効果的な準備になりますよ。
着任後の動き方を考える


ここからは内定後の話ですが、実は選考の段階から考えておくと差がつきます。
先ほどの「姿勢」の話とつながります。現場で早く成果を出すために、自分はどう動くべきか——これを考えておくかどうかで、着任後の立ち上がりがまったく変わります。特に期の途中など、中途半端な時期に入る場合は重要です。
最初の1週間で誰に話を聞きに行くか。何を把握すれば仕事を進められるか。小さくても最初に出せる成果は何か。入る前にここまで描けている人は、実際に立ち上がりが早いです。そしてその姿勢は、面接の受け答えにも自然とにじみます。
自己紹介を用意しておく


地味ですが、効きます。配属されると、想像以上に自己紹介や「自分は何ができるのか」を話す機会が多いからです。
部署の朝礼、関係部門への挨拶、最初の打ち合わせ——そのたびに詰まってしまうより、スムーズに話せたほうが確実に印象が良くなります。短い版と長い版を用意しておくと安心です。
謙虚さを取り戻しておく


最後は、心構えの話です。ここを外すと、実力がある人ほどつまずきます。
めのめMEMO
どんなに輝かしい経歴や実績を持っていても、転職先では新参者です。これは受け入れる側として何度も感じてきました。
着任後の1ヶ月は、職場での自分の立ち位置、登場人物のパワーバランス、その組織の文化——そういったものを見極める時間にあててほしいと思います。前職のやり方をそのまま持ち込む前に、まずは観察する。
初心に帰って謙虚な気持ちを取り戻しておく。それだけで、その後の立ち上がりがずいぶん違ってきます。
転職活動の全体像や進め方は、こちらで詳しく解説しています。


まだ動く気がない人へ


ここまで読んで、「自分はまだ転職する気はないな」と思った方もいるはずです。それで構いません。
ただ、転職活動をすることと、実際に転職することは別です。市場の相場や自分の評価を知ったうえで「今の会社に残る」と決めるのは、知らないまま続けるのとはまったく違います。
その考え方は別の記事にまとめているので、迷っている方はそちらを読んでみてください。
「転職しないけど活動する」意味については、こちらをどうぞ。


なお、秋の求人に応募したいと考えているなら、逆算しておくことをおすすめします。書類を整え、面接を数回受け、内定から現職の引き継ぎを終えるまで、思っているより時間がかかるからです。「秋に動く」なら、準備を始めるのは夏のうちです。
まとめ|時期は入口、姿勢が本番


9月・10月に採用が動きやすいのは事実です。
ただ、受け入れる側が本当に見ているのは、入る時期ではなく入ってからの姿勢でした。
- 秋に動くのは、下半期の計画・予算執行と次年度計画が重なるから
- 受け入れ側は4月・10月が組み込みやすいが、必要な時期はいつでも起こる
- 即戦力とは、スキル以上に「自走できる姿勢」のこと
- 選考は「貢献できること」と「想定問答」で差がつく
- 着任後は自己紹介の準備と、新参者としての謙虚さを忘れずに
タイミングを気にして動けずにいるより、いつ機会が来てもいいように準備しておく。そのほうが、結果的に選べる道は増えます。
この記事が、あなたの一歩目を決める材料になれば嬉しいです。
転職・キャリアについてのシリーズはこちら



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