「1on1って、何を話せばいいの?」
上司との1on1ミーティングが設定されたものの、テーマが思いつかず戸惑っている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、私がIT企業のマネージャーとして現役で10人程度の部下と1on1を行っている経験から、
「評価じゃないなら何のため?」「沈黙が続いたら気まずい…」そんな不安や疑問に対して、
1on1の目的や進め方を整理しつつ、部下としてどんな準備やテーマを持ち込めばいいのかを解説していきます。
「やる意味がわからない…」と感じていた方でも、読み終えるころには、“話すことがない”という悩みがなくなり、自分から1on1を活用できる状態になっているはずです。

結論:テーマは重要でない、自分の言葉でアウトプットできればOK
身も蓋もないですが、1on1ミーティングの目的を考えると、話すテーマ自体は重要ではありません。
自身の成長支援の場として1on1の目的を理解し、自身の考えや相談内容を自分の言葉で積極的にアウトプットして、上司との対話を深めることが重要です。
その理由を、1on1ミーティングとはそもそもどんなミーティングなのかも含めて説明し、具体的なテーマも紹介していきます。
1on1って何
1on1の目的
1on1ミーティングは、部下の成長支援やそれに伴う組織力の強化を主な目的としています。
具体的には、以下の点が挙げられます。
- 部下の成長促進
- 心理的安全性の醸成
- エンゲージメントの向上
変化に柔軟に対応ができる自律的な人材の育成を促し、心理的安全性を確保とエンゲージメントの向上で優秀な人材の離職も未然に防止する。
その結果として、組織力の強化に繋がっていく…という考え方です。
「部下が主体性や問題解決能力を自ら養い、自律型人材へと成長する」という特徴のため、
従来の評価面談や業務の報連相とは異なり、上司が一方的に指示を与えるのではなく、
部下自身が考えることを支援するというアプローチになっています。
対話機会 | 上司/部下の役割 |
---|---|
1on1ミーティング | 部下主体の対話。上司は聞き役、サポート役に徹する |
評価面談 | 主に上司が部下自身の成果やプロセスに対し、評価やフィードバックを伝え、改善を指示する |
業務報告・連絡・相談 | 主に部下の報告・連絡・相談に対し、上司が指示・承認を行う |
1on1の進め方

会議の目的や進め方を事前にしっかりとすり合わせ、上司部下双方が準備を行ってミーティングに臨むのが重要です。
上司の準備:
- 部下の直近の業務状況、目標達成度、課題などを事前に把握しておく。
- 部下の状況に応じて、必要に応じて自身の意見や質問を準備する。
- 部下の成長を促すための具体的なフィードバックやアドバイスの方向性を検討する。
- ミーティングの目的を明確にし、部下と共有する。
部下の準備:
- 話したいテーマや相談したい内容を具体的に整理しておく。
- 自身の業務における課題、成功体験、今後の目標などを明確にする。
- 上司に聞きたいこと、期待することなどをまとめておく。
- 前回の1on1ミーティングで決めたアクションプランの進捗を確認しておく。
心理的安全性を高める目的で、ミーティングの冒頭で「チェックイン」を行い、リラックスした雰囲気を作ります。
いきなり本題に入るのではなく、部下の気分や体調、最近の出来事など、業務以外の軽い雑談から始めることで、部下が話しやすい環境を整えます。
1on1ミーティングの主役は部下です。上司は聞き役に徹し、部下が自由に話せるように促します。
一般的には、部下の話が7割、上司の話が3割程度が理想とされています。
上司は部下の話を傾聴することが基本姿勢です。
質問やフィードバックも必要ですが、あくまで部下自身の思考の深堀や具体策を見つけることをサポートすることを目的とした内容にとどめます。
ミーティングの最後には、話し合った内容を具体的なアクションプランに落とし込み、次回の1on1ミーティングで進捗を確認できるようにします。
アクションプランは、部下の成長を促進するための具体的なステップであり、目標達成への道筋となります。
1on1ミーティングは、単発で終わらせるのではなく、週に1回や月に1回など、定期的に継続して実施することが重要です。
継続することで、上司と部下の信頼関係が深まり、部下の成長を長期的にサポートすることができます。また、ミーティングのたびに内容や進め方を振り返り、改善していくことで、より効果的な1on1ミーティングへと発展させることができます。
現場での1on1
今回は一般的な進め方を整理してみました。大枠としてはどこも同じだと思いますが、目的の重点をどこに重きを置くかと、部下自身のステージで進行の仕方も変わります。
例えば私の場合は、若手や部下になって日が浅いメンバはSTEP4は必須にせず、十分に部下に話させることを重視しています。これは関係性の構築や、どのようなサポートが部下の成長に繋がるかを見極めることを主目的としているためです。
逆にマネージャーやその候補は、自律的に行動して成果を生み出せるような成長支援を目的にしているので、きっちりアクションプランを出させています。
1on1における部下側の役回り
部下は、自身の成長支援の場として1on1の目的を理解し、事前準備を徹底することが重要です。
話したいテーマや相談内容を明確にしてください。テーマ自体は重要ではありません、あなた自身がそこについて深く考え、積極的に自分の意見や質問をぶつけることで、対話を深めることが重要です。
上司からのフィードバックは素直に受け止め、ミーティングで決まったアクションプランを実行に移し継続的に振り返りを行うことで、効果を最大化できます。
何より一番重要なことは、ミーティングの時間をしっかり確保して参加することです。
日々の忙しい業務の中で、直近の仕事に影響しないという理由でミーティングをSKIPしたくなる気持ちは理解できます。
一方で「成長やステージアップの意欲、意志がない」「中長期的な視座が不足」「目的への理解不足」などの評価につながりますし、何よりあなた自身の成長機会を減らしてしまいます。
どうしても予定の時間を確保するのが難しい場合は、時間調整を上司に相談しましょう。それだけで、ネガティブ評価を避けることができます。
明日から使える1on1トークテーマ

これまで説明した内容からもわかる通り、話すテーマ自体は本質的に重要ではありません。
とはいえ、なんでも良いと言われても困ってしまうと思います。
わたしが1on1をこれまでやってきた経験から、この記事を読んでくれているであろう人の状況を想定したものや、部下がテーマに困ったときに提案するものをトークテーマ例として整理してみました。
1on1の趣旨や進め方のすり合わせ
ここまで読んで、上司の進め方に疑問や不安が多く浮かんだ方は、1on1の趣旨や進め方を改めてすり合わせる時間にすることをおススメします。
わたしの実際に行っている経験を踏まえて、一般的な内容に寄せて整理しましたが、会社によって導入目的のニュアンスは変わる可能性は大いにあります。まずはこの記事を読んで理解した内容を踏まえて、上司に場の目的と進め方をあなたのことで説明、質問してみましょう。
認識があっていた/いなかったに関わらず、以降の1on1ミーティングが有意義な方向に向かうのは間違いありません。
自己紹介/キャリアの棚卸し
最初の1on1や、これまで話が中々盛り上がっていない方は、自己紹介やキャリアの棚卸しをおススメします。
大抵の人は自分自身の経験が一番話ができるはずです。自己開示が苦手な方も、事実ベースであれば話せると思うので事前準備として、資料に書き起こして棚卸ししてみるのもよいでしょう。
上司自身にあなたのことを知ってもらえるので、関係構築の第1歩にもなります。
直近の社内イベントや新しい施策について質問
会社に勤めていれば、期ごとのキックオフや、新サービスや施策の発表などのイベントは実施されているのではないでしょうか?視座の高さのアピールにもなるので良いテーマだと思います。
自分の業務や役割と紐づけて関連性を深堀し、自分の意見や考えをぶつけてみましょう。上司の考え方とすり合わせができますし、思いがけないような上司の一面を見られることもあるかもしれません。
注意点としては、メインの業務や担当案件に直結するイベントなどを取り上げると、業務の中での会話と切り離しが難しくなるということです。できるだけ、業務の中やメンバ全員がいる場では、深堀して話さないような内容を切り取ってテーマにしていることをおススメします。
直近で終わった案件や大きな仕事の振り返り
過去の案件や仕事の振り返りも良いテーマです。
会社によっては、忙しさから振り返りが以外とできていない…という現場もあると思います。
しっかり振り返りを行っていても、一度行った振り返り結果を期間をおいて再度チェックまでできている現場は中々ない印象です。
時間を置くことでより客観的な視点で分析できることもあるので、今の仕事に活かせる内容が新たに発見できるかもしれません。是非、整理した内容を上司に持ち込んで対話してみましょう。
まとめ:“話すことがない”は思い込み。1on1は「あなたのため」の時間です

1on1ミーティングの主役は上司ではなくあなた自身です。テーマは立派でなくても構いません。
自分の業務のこと、悩み、ちょっとした疑問でも、「自分の言葉で話すこと」が成長の第一歩です。
■ 最後に3つのアクションをおすすめします:
- まずは1on1の目的や進め方を上司とすり合わせてみる
- 事前に話したいことを、簡単でよいのでメモして準備しておく
- 「完璧に話す」より「素直に話す」ことを大切にする
せっかく会社が用意してくれた成長の機会。
1on1を味方につけて、より自分らしい働き方やキャリアのヒントをつかみにいきましょう。
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