「会社から1on1をやるよう言われたけど、何を話せばいいの?」
「雑談で終わっちゃって意味あるのかな…?」
上司として1on1に取り組んでいるけれど、手ごたえが感じられないとモヤモヤしていませんか?
本記事では、そんな「1on1が盛り上がらない」「部下が話してくれない」という悩みを抱える上司の方に向けて、
1on1の上司の役割と部下が自然と話しやすくなる工夫を、具体的なアクションとともにお伝えします。
私もIT企業のマネージャーとして現役で10人程度の部下と1on1を行っていますが最初は手探りでした。
経験を積む中で「話すのは部下」「上司は場づくりに徹する」というスタンスに腹落ちし自分なりに試行錯誤していくことで、1on1の質が大きく変わりました。
部下との信頼関係を深め、1on1を「成長の時間」にするヒントを、ぜひ持ち帰ってください。

結論:話すのは部下!環境を整えて、考えを引き出すことに集中しよう
繰り返しになりますが、1on1は部下の成長支援の時間であり、主役は部下です。
上司は、環境づくりと部下の本音や気づきを引き出すことに集中しましょう。
一般的な1on1の目的や進め方を知りたい方は、こちらで整理しています。

では私の経験を踏まえて、具体的にやるべきことを解説していきます。
1on1に向けて上司がやるべきこと6選
1on1の趣旨や進め方を再説明
まず、1on1を導入している目的や進め方が部下にきちんと説明できていない、もしくは部下が理解できていないという場合は、改めて説明の場を設けましょう。
1on1はただの雑談ではなく、「部下自身に自ら考えて解決策を導くプロセスを身に着けてもらう」ということが、大きな目的の1つです。部下自身が意図を理解せず雑談をするだけでは、効果が激減しますし、当然おしゃべりが好きな意図以外はモチベーション低下に繋がりかねません。
個別に納得できていない部下がいれば、1on1のテーマとして話してもらうのも効果的です。私も話す内容で困る部下に提案するテーマの1つです。
もし、自分自身がやる意義を腹落ちしていない…という方がいれば、是非あなた自身が上司と1on1を申し込み、対話してみることをおススメします。
一般的な1on1の目的や進め方はこちらで整理していますので事前準備で参考にしてください。

部下のステージや関係性に合わせてアレンジする
例えば、10年一緒に働いている部下と、今年から部下になった新入社員、当然あなたとの関係性も積んできたキャリアも違います。効果的な場とするために、関係性に合わせて、1on1の内容もそれぞれアレンジするべきです。

経験上ですが、ステージ1-2までは毎回アクションプランを立てたり、その進捗を追うことにパワーを割くことは必須にしない方がうまくいく印象です。
カジュアルな内容で構わないので、お互いを知り、信頼関係を育んで本音で対話できる関係を気付くことに注力した方が、ステージアップが早いです。
部下のレベル感やあなたとの関係性を踏まえて、見直してみてください。
時間は絶対に確保する
1on1のための時間は確保し、他の予定が入ってSKIPになることは絶対に避けてください。
皆さんが忙しいのは百も承知ですが、1on1は部下の育成のための時間です。
業務の予定やクライアントとの打合せでSKIPになる場合に、部下がどんな印象を持つかを想像してみてください。
もちろん、避けられないケースもあります。
有給休暇の取得などでぶつかってしまう場合は、素直に調整をお願いしましょう。
相手の時間を軽んじているわけではないということを伝えるのが重要です。
話しやすい空間の構築
部下が安心して本音が話せる環境を整えてください。
お互いの信頼関係があることは勿論必要ですが、ミーティングの進め方やあなたのミーティングでの姿勢も重要です。
- 部下の話を遮らず、最後まで聞く
- 相槌やうなずき、アイコンタクトを適切に使う
- 部下の感情に寄り添う言葉をかける
- 部下の言葉を要約して確認し、理解が正しいかを確認する
- 部下の話すスピードに合わせる、テンションを合わせる
- 部下の発言に対して批判的な態度を取らない
- 部下のプライベートな話題にも配慮し、無理に聞き出さない
- 1on1で聞いた内容、話した内容を部下の許可なく口外しない
話しやすい空間を作ることで、予想外の部下のプライベートや考えていた内容を聞くこともあります。
もちろん、相手が傷つくような反応は問題外ですが、「無関心」や「あまり関心がない」と取られるような反応も問題です。
- 興味を示す
- 嬉しさを示す
- 勇気に敬意を示す
どれでも構わないので、自己開示してくれた相手が話したことを後悔しないような態度を示してあげてください。
気恥ずかしい方もいると思いますが、お互い様と考えて一歩踏み出しましょう。
話すのが苦手な部下のためにトークテーマの例を作っておくのも有効です。

フィードバック
部下自身が解決策を見つけられるように、建設的なフィードバックを行いましょう。
一方的に答えを与える指示ではなく、部下が自ら考え、行動できるように促します。
- オープンな質問を投げかける
(例:「この状況をどうすれば改善できると思う?」「同じ状況になったら何を試してみたい?」) - 改善点については、部下自身が気づき、アクションにつながるような伝え方をする。
- 強みを伸ばすことを意識する
- 部下の良い点や成長した点を具体的に褒める。
- 部下の意見やアイデアを尊重し、後押しする。
- ネガティブフィードバックは極力さける。必要な場合は、アウトプットやプロセスなどに対して行い、部下本人が否定されていると感じるような表現は避ける。
- 課題を奪って、なんでもやってあげようとしない
- 解決だけに集中しない、問題だけを探さない
- 「変えてやろう」、「解決してやろう」、「評価判断しよう」としない
→まずは最後まできく、その上で最後は本人に決めさせる
忘れないよう記録する
1on1ミーティングは単発で行うものではなく、定期的な対話を通じて部下との関係性の構築や、成長に伴走する取り組みです。前回話した内容はもちろんのこと、半年前であっても部下が自己開示してくれた内容をこちらだけ失念してる…という状況は避けたいところです。
恥ずかしながら、わたしは複数人の部下と並行して行っていることもあり、記憶が混じってしまうことがあります。
今のところ、大きな信頼を失う状況にはなった経験はない(と、信じたい)のですが、事故が起きないように記録するようにしています。記録している内容についても共有しますので、参考にしてください。
- コンディション(元気があるか、悩みを抱えていないか、反応がいつも通りか)
- 良いと感じた成果やプロセス
- 印象的な考え方や思考方法、価値観など
- 本人の強みと感じたポイントとその理由
- 開示してくれたパーソナルな情報
- 具体的にフィードバックしたこと
- アクションプラン
記録する場合は「予め部下に伝えてください」。
「評価の場でない」と伝えている場で、相手が何かを気にしていると本音を言いにくくなりますし、誤解で信頼を失うリスクがあります。
まとめ:「1on1。話すのは部下、整えるのは上司」
1on1をうまく活かすには、上司が「うまく話を引き出さなきゃ…」と頑張るよりも、部下が安心して話せる環境や関係性を整えることが何より大切です。
本記事で紹介したように、
- 1on1の趣旨や進め方をあらためて部下に伝える
- 関係性や状況に応じて内容をアレンジする
- 時間や雰囲気、記録など、信頼を損なわない工夫をする
これらはすべて、「話すのは部下、整えるのは上司」という姿勢を土台にした取り組みです。
完璧を目指す必要はありません。
まずは、1on1で部下が少しでも話しやすくなるような工夫を、ひとつでも試してみてください。
きっと、関係性にも小さな変化が生まれてくるはずです。
コメント