
片働きって、実際どういう状態を指すんだろう?



“片働き”って最近聞くけど、昔からそんな言葉あったっけ?
そう思ってこの記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。


昔は当たり前だった”夫が働き、妻が家庭を守る”という家族モデル。
しかし今では共働き世帯が約7割を占め、社会全体でみれば片働きは少数派になりつつあります。
一方で、子育て期に片働きを選ぶ家庭や、収入・生き方を理由にあえて片働きを選ぶ人もいます。
本記事では、片働き歴10年以上の筆者が、
- 「片働き」という言葉の正確な意味と生まれた背景
- 片働き・共働きの最新データ
- どんな層が片働きを選んでいるのか
- 海外ではどう考えられているのか
といった、気になるポイントを整理して解説します。
これからの働き方や、パートナーとの将来像を考え始めている方にとって、
“自分たちはどんな生活モデルを選ぶのが合っているのか”を考え、見直すヒントになるはずです。
現在片働き中で、課題を抱えている方はこちらも読んでみてください


片働きとは──言葉が広まり始めた背景


「片働き(かたばたらき)」とは、
夫婦やパートナーのどちらか一方だけが働き、もう一方が専業で家庭を支える家計の形を指します。
昭和〜平成初期までは一般的な家庭モデルでしたが、現代では共働きが主流となり、
片働きは全体からみると「少数の家庭が採用するスタイル」へと変化しつつあります。
「片働き」は昔からある概念ではありますが、
一般的な表現として利用されるになったのは近年になってからです。
共働き世帯が多数派になり、社会の“標準”になったことで
「夫婦の働き方には複数のパターンがある」ことを整理したり比較したりする必要性が生まれ、
“共働き”の対比の言葉として”片働き”が使われ始めました。
さらに、メディアやSNSで家族の暮らしや働き方を語る機会が増えたことも普及の後押しになりました。
ライフスタイルや家計の違いを簡潔に共有するために、「共働き」「片働き」といった言葉の使い分けが、
便利に使われるようになり、少しずつ一般化してきたのです。
つまり「片働き」という言葉は、特別な新しい制度を示すものではなく、
多様化した働き方をわかりやすく表現するために現代社会で整理され、広まった呼び方だと言えます。
- 経済が右肩上がりだったため、一馬力で家計が成立しやすかった
- 家事・育児・親の介護といった役割が、ほぼ女性に固定されていた
- 「仕事=男性、家庭=女性」という社会規範が強かった
データから見る片働き・共働きの現状


現在の日本では、かつて主流だった片働き世帯は減少し続け、代わりに共働き世帯が多数派となりました。
総務省の統計によると、2022年時点の共働き世帯は約1,262万世帯、片働き世帯は約539万世帯。
これは、およそ 7:3 の割合で共働きが主流になっていることを示しています。
厚生労働省 令和5年版年厚生労働白書 共働き等世帯数の年次推移からの引用https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/22/backdata/02-01-01-03.html
この数字の背景には、いくつかの社会変化があります。
- 物価上昇や教育費の増加により、一馬力では家計が成り立ちにくくなった
- 在宅勤務や正社員の時短勤務など柔軟な働き方が広まり、仕事と育児の両立できる環境が整い始めた
- 女性の社会的自立やそれに伴うキャリア形成の意識が高まり、「働き続けること」が当たり前になった
- 男性の家事・育児参加が増え、夫婦での役割分担が変わってきた
こうした変化により、共働きは“選択肢のひとつ”ではなく、現代の一般的な生活モデルとして定着してきました。
一方で、新しく出来上がる家庭が全て共働きを選ぶわけではなく、
一定数が”片働きをあえて選んでいる”という実情もあります。
- 子どもが生まれたタイミングで、短期間だけ片働きへ切り替えるケース
- 介護や持病など、家庭の事情で片働きを選ぶケース
- 世帯年収が高く、片方が家庭に集中する方が効率的というケース
つまり片働きは「消えゆく家庭のかたち」ではなく、
ライフステージやライフスタイルに応じて選ばれる“働き方” として位置づけが徐々に変わってきているのです。
片働きを選ぶ人たちの特徴
片働き世帯が減少している一方で、「あえて片働きを選ぶ」という家庭も一定数存在します。
そういった家庭では単に“働けない状況だから片働き”なのではなく、
自分たちの価値観や生活モデルに合わせて選択していることが特徴です。
片働きを選ぶ家庭には、主に以下の3つの傾向があります。
経済的な余裕と役割分担の最適化


世帯年収が高く、どちらか一方が働くだけで家計が成り立つ家庭では、
「分担を明確にしたほうが生活がシンプルになる」という理由で片働きを選ぶケースがあります。
- 家事・育児に専念することで家庭の運営が安定する
- もう一方は仕事に集中でき、結果的に収入が伸びやすい
- 外注しづらい家事・育児のクオリティが上がる
特に、管理職・専門職・フリーランスなど、働き手の拘束時間が長い世帯に多い傾向があります。
ライフステージ/イベントによる選択


片働きが選ばれる最も一般的な理由は、家庭内のケアが必要な時期に入ることです。
- 産後の一定期間だけ育児に集中
- 子どもの発達段階に合わせて数年だけ片働き
- 親の介護で家庭に人手が必要
- 配偶者が一時的に病気やケガで、治療やサポートを必要とする
この層では、ずっと片働きを続けるわけではなく、長期的なキャリア形成も見据えながら、
ライフイベントに合わせて働き方が揺れ動く「可変型の片働き」 を取り入れる家庭が多いのが特徴です。



これは、子どもや親の有無に関わらず、誰にでも起こり得るシチュエーションです。いま共働きの家庭でも、一時的に片働きになる可能性は常にあります。そのリスクを見据えて、貯蓄計画や支出管理は日頃からしっかり整えておきましょう。
“家庭にフルコミットしたい“という価値観


最後が、「働くよりも、家庭や子育てに力を入れたい」 という価値観を持つ層です。
前段の2つが比較的合理的な判断の元の選択だったのに対し、二人の価値観を重視した選択といえます。
- 子どもと過ごす時間を最優先したい
- 食事・生活リズム・安全管理など、家庭の質を高めたい
- 共働きで余裕がなくなるより、片働きで家計や生活を整えたい
“キャリアより家族を優先する”という価値観は、以前より尊重されやすい社会になってきています。
そのため、片働きを選ぶことに社会的な抵抗感が薄れてきているのも背景のひとつです。





どのパターンにも共通しているのは、片働きを選んでいる理由が明確にあることです。
片働きは「経済的に不利」と言われがちですが、明確な目的と計画があれば、暮らしや心の余裕を生む働き方なのです。
海外における片働きの位置づけ


片働きは日本だけの概念ではありません。
むしろ、国によって “当たり前の選択肢” として根付いている場合もあれば、
逆に “ほぼ成立しないモデル” と考えられている国もあります。
ここでは、日本との比較がしやすい 欧米を中心とした働き方の特徴 を整理し、片働きの位置づけを見ていきます。
| 地域 | 主な特徴 | 片働きの一般的な位置づけ | 背景・理由 |
|---|---|---|---|
| 欧州 | 福祉制度が厚くワークライフバランス志向が強い | 片働きと共働きをライフステージで行き来する“柔軟モデル” が一般的 男女どちらが片働き側になるか、固定観念が弱い | 充実した育休制度 柔軟な働き方 多様な価値観の尊重。 |
| アメリカ | 自由競争・成果主義の社会で、制度の弱さが片働きという選択肢を狭めている | 高所得家庭:片働きが成立しやすい 中〜低所得家庭:ほぼ共働きが必須 | 大きな経済格差 生活コストが高い。特に都市部では顕著 法的な育児休業制度が弱い |
| アジア | 伝統的な役割分担が残りつつ共働き化が急速に進行 | 文化的には片働きが自然 一方で近年の物価上昇から、片働きが難しい状況になる国も多い | 近年の物価上昇や教育費の高騰 祖父母の支援を得やすい、安価な家事代行サービスの存在など、片働きがしやすい国もあり |
地域ごとに事情は異なりますが、海外では「片働き=古い」と決めつける傾向は薄く、
ライフステージや価値観の違いによって柔軟に選ばれています。
特に欧州では働き方の多様性が尊重され、アメリカでは経済状況に応じて働き方を変えることが一般的。
アジアでは伝統と経済事情が混在し、以前の日本と同様に共働き化が進む中で片働きの価値が再考されています。
片働きのメリット・デメリット


片働きには、家庭にとってプラスになる側面もあれば、慎重に考えるべきポイントもあります。
どちらが良い・悪いではなく、“自分たちの価値観や家計状況と相性がいいか” を判断することが重要です。
ここでは、片働きのメリットとデメリットを簡単に整理していきます。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 育児や家事にじっくり向き合える時間を確保できる 家庭内にゆとりが生まれ、分担が明確になりやすい 時間的・精神的な余裕が生まれやすい 通勤費・保育料・外食など、働くためのコストを抑えられる | 収入源が1つになるので、病気・失職リスクが集中 長期的な資産形成(住宅・教育・老後資金)が難しくなる可能性がある 家事・育児を担当する側への依存が強まる 家事・育児を担当する側が、社会とのつながりが薄れやすく、孤立感を感じる可能性がある |
メリット・デメリットの詳細や、筆者の家庭が”片働き”を選んだ流れについてはこちらでまとめています


片働きと共働き、どちらを選ぶべきか
片働き・共働きのどちらが正しいかに“正解”はありません。
大切なのは、自分たちの状況・価値観・将来像に合っているかどうか です。
ここでは、夫婦が迷ったときに役立つ「判断軸」を紹介します。
“お金”だけで考えると視野が狭くなる


働き方の議論になると、まず家計の話になりますが、
お金だけで判断すると失敗しやすいのがこのテーマの特徴です。
- 共働きにすれば収入は増える
- 片働きにすれば家事・育児の質は上がる
収入が増えても、家庭が崩壊しかけていたら本末転倒です。
お金は重要ですが、主要因にせず一つの要素として扱うのが現実的です。
ライフステージとの「相性」で判断


片働きか共働きかは、年齢・子どもの有無・家庭内の負荷・キャリア状況 によって相性が変わります。
- 子どもが小さい
- どちらかの仕事が繁忙期で、家庭に手が回らない
- 介護や治療など、一時的に家庭側のケアが必要
- 収入が十分で、生活の質を最優先にしたい
- キャリア形成のタイミング(昇進・スキル習得)
- 住宅購入・教育資金など、貯蓄スピードを上げたい
- 子どもが成長して手がかからなくなってきた
- 家事外注やサポートを活用できる環境にある
どちらかに固定せず、時期ごとに切り替える“ハイブリッド型” も現実的な選択肢のひとつです。
夫婦それぞれの価値観を“言語化”しておく


働き方の選択で一番大切なのは、価値観を共有することです。
- どんな生活を送りたい?
- 子育てにどれくらい関わりたい?
- キャリアと家庭、どちらを優先したい?
- 今後の10年をどう生きたい?
こうした“価値観のすり合わせ”ができていないと、
片働きでも共働きでも、あとから不満が積もりやすくなります。
逆に、価値観が明確であれば、
どの働き方を選んでも幸福度が高くなりやすいのが特徴です。
「どちらが続けられるか」で決める


働き方は一度決めたら終わりではなく、日々の生活で“続けられるかどうか”が最重要ポイントです。
- 共働きで家庭が回らなくなっていないか
- 片働きで片側の負担が増えすぎていないか
- 夫婦どちらかのメンタルが削れていないか
- 急なトラブルに対応できる余力があるか
持続可能性の観点で考えると、“今の生活に合った選択”が自然と見えてきます。



無理をすると、予期せぬアクシデントに耐えられなくなります。
夫婦でしっかり話合いましょう。
一度決めても、いつでも見直していい


片働きも共働きも、変えてはいけない固定設定ではありません。
- 子どもが生まれたから片働きへ
- 落ち着いたら共働きへ
- 仕事が忙しくなったから役割を一時的に入れ替える



こんなふうに、生活の変化に合わせて柔軟に調整するのが、現代の働き方といえるでしょう。


片働きは“現代の選択肢”


かつて片働きは「当たり前」でしたが、現代では共働きが一般的となり、
「片働き=時代遅れ」という印象を持つ人も少なくありません。
しかし実際には、片働きは“古い価値観の象徴”ではなく、ライフスタイルの多様化が進む現代だからこそ
再び注目されている選択肢です。
重要なのは、片働きか共働きかという客観的な二択の優劣ではなく、
自分たち家族にとってどんな働き方が「幸せ」につながるのかという視点です。
収入、キャリア、家庭の価値観、育児や介護の状況、パートナーの志向性、そして将来の生活設計──
これらを踏まえて、「どちらがより豊かに生きられるか」を夫婦で丁寧に話し合うことが必要です。
片働きを選ぶことは、決して後ろ向きではありません。
共働きを選ぶことが、必ずしも正解というわけでもありません。
“家族の幸せを最大化する働き方を選べる”こと自体が、現代ならではの自由であり強みです。
片働きという選択肢を、固定観念ではなく「自分たちの理想の暮らしを実現するための一つの可能性」として
捉えることで、より納得感のある未来の選択ができるはずです。
この記事が、あなたの選択の手助けになれば嬉しいです。









コメント