報告のつもりが、気づけば30分間も上司の武勇伝を聞く羽目に…
こちらが話し出しても、「いや、俺の若い頃はね」と止まらない──
そんな経験、ありませんか?

話が長い、聞いてくれない、そもそも噛み合わない。
こちらは真面目に報告・相談したいだけなのに、毎回エネルギーを吸い取られてしまう。
「この人、なんでこんなに話が通じないんだろう」と、ため息をついたことがある人は少なくないでしょう。
でも、あなたの伝え方が悪いわけではありません。
多くの場合、「話の通じない上司」には、本人の心理的な不安や、世代・立場による認知のズレが隠れています。
そしてそのタイプごとに、有効な“受け流し方”と“リードの仕方”があります。
この記事では、会社員歴15年以上、現役管理職で10名程度の部下を持つ筆者が、
話の通じない上司の心理をタイプ別に整理し、今日から試せる対策を紹介します。
読んだ後には、会話のストレスを最小限に抑え、あなた自身の時間とメンタルを守るヒントが見つかるはずですよ。
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上司には、“理解させる”より“仕組みで通じさせる”


「話が通じない上司」に悩んでいると、
どうしても“自分の伝え方が悪いのかも…”と考えてしまいがちです。
でも実は、話が噛み合わないのは「伝え方の問題」ではなく、「構造の問題」なのです。
「話が通じない上司」と上手くやるコツは、
相手を説得しようとするのではなく、“通じるルート”を設計することです。
上司を変えることはできません。
でも、話の進め方・順番・見せ方を変えれば、
“伝わらない”は“通じる”に変えられます。
たとえば──
- 結論を先に言うのではなく、「YES」から始めて心理的抵抗を減らす
- 意見を通すのではなく、「選択肢」を渡して主導権を感じさせる
- 会話に頼らず、メモ・図・要約を使って“言葉の抜け”を防ぐ
こうした工夫を積み重ねることで、
「話が通じない上司」も“扱いづらい人”ではなく、“攻略可能な相手”に変わります。
なぜ話が通じない上司は生まれるのか


「話が通じない上司」は、単なる“性格が合わない人”ではありません。
多くの場合、上司の内側にある不安や承認欲求、そして世代的な認知のズレが原因です。
一見バラバラに見える“話の通じなさ”も、実は次の三つのタイプに整理できます。
タイプ①:駒扱い型
このタイプの上司は、部下を「人」ではなく「手足」として見ています。
自分の指示通りに動く部下=優秀、そうでない部下=反抗的、と極端な評価をしがち。
話が通じないのではなく、そもそも「相手の意見を聞く気がない」のが特徴です。
背景には、「管理職としての成果がプレッシャーになっている」ケースが多く見られます。
部下を“支配することで安心したい”という心理が働いており、本人に悪気はなくとも、
結果的に会話が命令口調になってしまうのです。



このタイプは、部下を「自分の思い通りに動くか」でしか評価しない傾向があります。成果を出していても指示通りに動かない部下を「抵抗勢力」と捉えるため、組織としても害の大きいタイプです。
タイプ②:儀式型
雑談のつもりが1時間、自慢話や昔話が止まらない。
このタイプは、会話そのものを“仕事の一部”と勘違いしている上司です。
実は「話す=マネジメントしている」と思い込んでいるケースが少なくありません。
根っこには、「自分の存在意義を確かめたい」という承認欲求があります。
部下にアドバイスすることで“まだ自分は頼られている”と感じ、自己肯定感を回復しているのです。
つまり、こちらが何を言っても、相手は“聞くためではなく、話すために会話している”状態。
この構造を理解しておくと、無理にまともな議論を成立させようとしなくなります。



単にお喋りが好きな人とは違い、「話すこと」を自分の仕事と思い込んで自尊心を保っています。そのため、無意識に「自分の話を聞くことも、部下の仕事である」と思い込んでいるのです。
タイプ③:能力不足型
もっとも厄介なのが、コミュニケーション力そのものが低いこのタイプ。
「噛み合わない」「指示が曖昧」「話が抽象的」──こうした特徴は、
そもそも整理して伝える力が不足していることの表れです。
本人も「説明が下手で伝わらない」とは自覚しているものの、改善できず空回りしているケースが多い。
また、世代間のギャップも影響します。
メールより口頭、論理より経験則──という価値観のままアップデートされておらず、
部下との共通言語が成立しづらいというケースも存在します。



特に、管理職になるまでは、実務中心でコミュニケーション力がそれほど求められない現場で起こりがちです。
まず”タイプを見抜く”ことから始めよう
どのタイプにも共通するのは、「本人に問題や原因」があるという点です。
対処の第一歩は、相手を“敵”ではなく、“データ”として観察すること。
- 駒扱い型 → 指示・支配欲が強い
- 儀式型 → 承認欲求が強い
- 能力不足型 → 不安と混乱が強い
タイプが見えれば、次に取るべきアクションも自然と決まります。
次章では、それぞれのタイプに合わせた「話をリードする具体策」を紹介します。
タイプ別”話が通じない上司”への対処法
駒扱い型:”YES”から入り、選択肢を添える


このタイプには、正面から反論したり、感情をぶつけたりしても逆効果です。
彼らは手綱を握る感触がないと不安になり、ますます強く出てきます。
ポイントは、最初に主導権を奪わないこと。
💬対処のコツ
- まず「承認」で始める:
「おっしゃる通りですね」「そういう考え方もありますね」 - そのうえで、“選択肢”という形で提案する:
「ちなみに、こういう進め方もありますが、どちらがやりやすいですか?」 - 提案を「相談」に変換することで、上司は“自分が決めた感覚”を得られ、納得しやすくなる
要するに、「従うふりをして、流れを動かす」。
“言葉の主導権”を一度相手に預けることで、実質的には自分のペースに持っていくのがコツです。
儀式型:”話を終わらせる”スキルを磨く


このタイプは、話すことで安心したいだけ。
内容よりも“話した時間の長さ”が満足度になっているため、まともに取り合うと延々終わりません。
対策は、相手が「話した」と感じるラインを見極め、適度なタイミングで区切ることです。
💬対処のコツ
- 話の途中で“要約返し”を挟む:
「つまり〇〇ということですね」「要は△△がポイントですよね」 - 「確認」や「次の行動」に意識を移す:
「その件、私の方で整理しておきますね」 - 雑談が止まらないときは、「ちょうどこの後、〇〇の準備があるので」と自然な理由で終了宣言する
このタイプにとって、“話を聞いてくれる人”=“味方”。
相手の自尊心を満たしつつ、時間を奪われない距離感を保つことが最重要です。



このタイプは後ろに予定があることを先に伝えることも有効です。
上司より高い立場の役職員や顧客との予定であれば、なお有効です。
能力不足型:押すより、支える


話が噛み合わない上司は、そもそも“自分の頭の中を整理できていない”ことが多い。
ここで感情的になったり、「なんでわからないんですか」と詰めたりすると逆効果。
代わりに、こちらが相手の思考を「見える化」してあげるのが最も効果的です。
💬対処のコツ
- 口頭指示をもらったら、「確認ですが」と要点を図や箇条書きにして見せる
- 「こういう整理で合っていますか?」と質問形式で共通認識を作る
- 会話よりも資料・テキストを中心にすり合わせることで、思考の抜けや誤解を減らす
つまり、相手を「直そう」とするのではなく、「支える仕組み」で補う。
これにより、上司の混乱が減り、あなた自身も巻き込まれにくくなります。



この対処をできるのであれば、あなたが管理職を問題なく全うできるという試金石にもなりますね。
タイプごとに“目的”を見失わない
どのタイプに対しても共通して言えるのは、「相手に勝つ」ことが目的ではないという点です。
目的はあくまで、自分の仕事をスムーズに進めること。
- 駒扱い型には、「YES+選択肢」で安心感を与える
- 儀式型には、「満足ラインを見極めて区切る」
- 能力不足型には、「見える化で支える」
こうした“話のリード”を意識するだけで、
会話のストレスは確実に減り、上司との関係も摩耗しにくくなります。
話が通じない上司も”攻略可能”に変わる





なんでこの人、こんなに話が通じないんだろう
──そう感じる瞬間は、誰にでもあります。
正直、上司を変えることはほとんど不可能です。
けれど、自分の構え方を変えることで、ストレスを大きく減らすことはできます。
まずは、相手の言動を「自分への攻撃」ではなく、「上司自身の課題」として客観的に見ること。
「こういう動きをする人なんだ」と受け止めるだけで、会話での消耗はぐっと減ります。
そして、職場で本当に大切なのは、”正しく伝える“ことよりも“意図通り相手を動かす”こと。
上司のタイプに合わせて伝え方を変えられる柔軟さは、
まさにビジネスにおける真のコミュニケーション力です。
“話が通じない上司”との関係も、消耗戦ではなくマネジメント戦へと変えていけます。


上司を変えることは難しくても、「どう向き合うか」は、いつだって自分の手の中にあります。
無理に説得しようとせず、相手の行動を見極めて対処する。
それが、あなたのストレスを減らし、チームを前に進める最も現実的で、賢い方法なのです。
人を変えることはできなくても、自分のスタンスは選べます。
今日から少しずつ、“疲れない関わり方”を実践していきましょう。
「上司に苦しむ部下」向けのシリーズはこちら










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