在宅勤務が当たり前になった今、意外と見落とされがちなのが「情報セキュリティ」。
オフィスと違い、家庭という開かれた空間で仕事をすることには、情報漏えいのリスクだけでなく、家族との信頼関係を揺るがすリスクも潜んでいます。
「何か起きた時に、家族を疑いたくない」「情報事故は絶対に避けたい」──
そんなあなたにこそ知ってほしいのが、在宅勤務で“仕事の信頼”と“家庭”を同時に守るためのセキュリティ対策です。
この記事では、現役在宅勤務歴5年以上の筆者”めのめ”が実践する、非IT職でもすぐに取り組める3つのステップをお伝えします。
家族と自分自身、そして仕事の信頼を守るための第一歩を踏み出していきましょう。
結論:3ステップ!在宅勤務のセキュリティ対策は家族の絆も守る

在宅勤務で最も見落とされがちな落とし穴、それがセキュリティ事故とそれにまつわる家庭内の信頼関係の悪化です。
物理的にも精神的にも近くにいる家族が、もし情報漏えいの当事者になってしまったら──
あるいは、あなたが不用意に家族を疑ってしまったら──
家庭の信頼関係にもキャリアにも、取り返しのつかない傷が残る可能性があります。
だからこそ、情報事故を防ぐセキュリティ対策は「技術的な対策」だけでなく「仕組みと信頼」まで含めて考えるべきです。
この記事では、企業の管理体制やルールの抜け穴になりやすい「非技術面」について、”めのめ”が実践している「3ステップでできる在宅勤務のセキュリティ対策」をご紹介します。
なぜ必要? 在宅勤務が抱えるセキュリティリスクの要因

線引きが曖昧
オフィスなら物理的な入退室管理で仕事に関係のある人間だけの空間をつくれるが、在宅では家族の生活動線と完全分離しづらい。
機会の多さ
入館証・USB・紙資料など、オフィスで完結したときに比べて、情報の持ち運びが多い。また、スペースや防音設備が限られていることから、ビデオ会議で映像や音声が漏れやすい。
高い意識を維持することの難しさ
本来最もリラックスできる自宅と、緊張すべきワークスペースが地続きであることから、オフィスのような意識を維持しにくい。また、従業員でない同居家族に自然と意識させるのはなお難しい。
在宅勤務の情報事故で失うもの…
信頼とキャリアに直結する

オフィスと異なり、在宅勤務では「誰がいつ何にアクセスしたか」が見えづらくなります。この状態でミスや情報漏えいが起きると、原因が明確にできず、個人の信頼が一気に揺らぎます。
- 社外秘のファイルを誤って私用クラウドにアップロード
- 打合せ資料を画面に映したまま離席し、家族が見ていた
- 紙資料を子どもに破かれた、勝手に持ち出された など
内容や社風にもよりますが、情報事故はだらしなさや責任感のなさ、自己管理能力の低さと結び付けられやすいです。一度のミスで信頼を失い、プロジェクト外される・昇進の声がかからなくなることも実際にあります。
信頼を失うのは会社だけではありません。このような状況が起きた場合の、最終報告に至るまでの過程をイメージしてください。
あなたは家族を一度も攻めませんでしたか?
あなたは一度も家族を疑いませんでしたか?
家族は常に和やかに応対してくれましたか?
子供が泣いている姿は?
在宅勤務で起きる問題は家族にも大きな影響を与えるのです。
情報事故に至らなくても家庭の不和になることも

意外と見落とされがちなのが、“疑念”によって生まれる家庭内の不和です。
誰か持って行った?
今、カメラにわたし入った?
ちゃんとルール守ってって言ったよね?
…こうしたやり取りが重なると、家庭という最も安心であるべき空間が、不信感の温床になることも。
私自身も、在宅勤務を始めた当初、ノートPC入りのバッグをリビングに置いたままにし、妻が片付けてくれたことに焦りを感じた経験があります。
幸い何事もありませんでしたが、在宅勤務の難しさと危うさを痛感したきっかけになりました。
3ステップ、セキュリティ対策

ここからは、在宅勤務を安心・安全に進めるための3つのステップをご紹介します。

まずはあなた自身でできること、管理対象の明確化から始めましょう。
- 社用PC、スマホ、USB、紙資料、入館証などをリスト化
- 仕事スペース内に“定位置”を決定、バッグ内の収納スペースまで決めれば完璧
- 通勤バッグと私用バッグは明確に分ける
- 私用と業務双方で使うサービスを整理し、アカウントは必ず分離
GoogleアカウントやZoomなど、サービスをアカウントで共用すると誤送信や誤共有のリスクが急上昇します。機密情報を共有してしまうのはもちろん、プライベートの写真や動画、情報を社内に公開してしまうのも致命的です。
リスト化した持ち物は定期的に棚卸してチェックする習慣をつけましょう。期間が空くほどリスクが大きくなるので毎週末やるのがおススメです。
めのめMEMO
そもそもですが、紙の書類などは自宅に持ち帰らずに業務設計することがベストです。
資料の下書きやアイディアノートなどは仕方ないとしても、印刷した書類は持ち帰らないに越したことはありません。処理まで考えると手間、リスクに見合わないというのが私の判断です。
仕事によってできるできないはあると思いますが、在宅勤務に必要なものを少なくするというのが、最も合理的な在宅勤務のセキュリティ対策です。
家族との距離が近い在宅勤務では、物理的な仕切りや線引きを設けることが重要です。
- 仕事専用スペースをつくる(個室が難しければ、仕切りやパネルで代用)
- 業務端末や書類は仕事エリアから持ち出さない
- 会議中はドアに札をかける、音を立てないよう家族とルールを共有
小さな子どもがいるご家庭は「在室中はこの線から内側に入らない」という“床テープルール”やも効果的です。我が家はクッション性のあるパネルでラインを可視化しました。
- Web会議にバーチャル背景を設定
- カメラや画面の配置や角度を調整
- ノイズキャンセリング付きヘッドセット
- 会話が漏れそうな会議中は、在宅家族にひと声かけてから開始
画面・カメラの角度や向きは、働きやすさを重視しがちですが、セキュリティ面でもとても重要です。
画面の向きを生活導線上の視界から外すことで、うっかり機密情報が家族にみえてしまうのを防ぎ、カメラも同様の対応をすることで家族の映り込みはもちろん、家族の「自分が映ったかも」「カメラの前を通りたくない」というストレスを軽減します。

セキュリティを守るうえで最も重要なのは、ルールを一人で作らないことです。家族にもリスクと目的をきちんと説明し、納得してもらいましょう。
- 会社のパソコンやスマホは仕事専用スペース外に持ち出さない
- 席を立つときは画面をロックする
- 会議中は声をかけない/必要な場合はLINEで伝える
- 書類や機器に気付いたら、触れずに連絡
- 家族からの気づきはすぐに共有(例:画面がつけっぱなしだったよ)
このように「家族も守る側になる」「気づいたら知らせる」という当時者意識を育てることで、トラブルの芽を未然に摘めるのです。
めのめMEMO
わたしの小学生の子供は、ディスプレイの電源切り忘れによる「暗闇に浮かび上がる光」をいつも見つけて注意してくれます。当事者意識の高い「自宅警備員」なのです。
まとめ:セキュアな在宅勤務で会社と家庭の信頼をどちらも守ろう
在宅勤務は、あなたの働き方に自由をもたらしますが、それと同時に見えづらいリスクも増やします。だからこそ、今こそ意識すべきは「セキュリティ=自分だけでなく、家族の信頼を守るもの」だという視点です。
キャリアと家庭の信頼、両方を守る3ステップ──

今できる対策から始めて、安心して働ける環境を作っていきましょう。
疑う前に、防ぐ。防げば、疑わなくて済む。それが、最高の情報セキュリティ対策です。
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