最近、ビジネスシーンで「コーヒーバッジング(Coffee Badging)」という言葉を耳にしたことはありませんか?
この言葉は、オフィスへの出社義務を果たすために短時間だけ出社し、
その後はすぐに自宅へ戻ってリモートワークを行うという、新しい働き方を指します。
あたかも、オフィスで「コーヒーを1杯飲んで帰る」程度の出社、という意味合いで名付けられました。
一見すると「ズルい働き方」「サボり」にも思えますが、
背景には企業と従業員の間にある“働き方に対する価値観のズレ”が存在します。
この記事では、在宅勤務を含むハイブリッドワーク歴5年以上で現役ハイブリッドワーカーの”めのめ”が、
- コーヒーバッジングとは何か?
- 日本での実態や今後の広がりは?
- メリットとリスクをどう捉えるべきか?
といった視点から、現代の働き方の一断面を読み解いていきます。
あなたがいま感じている「なんとなくのモヤモヤ」は、働き方の本質を見直すチャンスかもしれません。

コーヒーバッジングとは、オフィス回帰への従業員の妥協策

コーヒーバッジングとは、社員がオフィスへの「出社義務」を果たすために一時的に出社し、その後すぐにリモートワークへ切り替える働き方です。
文字通り「コーヒーを飲む程度」の短い滞在で出社記録を残す行動から、この呼び名がつきました。
この行動は、コロナ禍によるパンデミック後にリモートワークに慣れた社員が、再びオフィス勤務を求める企業の方針と折り合いをつけるために生まれた“妥協策”とも言えます。
主に米国で話題となった概念ですが、2025年現在の日本でも似たような動きが一部で見られるようになっています。
日本でも潜在的には存在している

パンデミックによって多くの企業が在宅勤務に舵を切りましたが、コロナ禍の終息とともに「やはり出社してほしい」という声が企業側から再び強まりつつあります。在宅勤務とオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークという言葉も浸透しました。

とはいえ、出社には通勤負担や家庭との両立の難しさなどのデメリットもあります。
一度出社しなくとも仕事はできる、成果はだせる、そういう経験をした従業員からは「毎日フル出社は非効率」「オフィスに行く意味が見いだせない」といった反発の声も多く聞かれます。
その結果として、出社指示に対して“最低限の対応”をとるという形で現れているのがコーヒーバッジングです。
現在の日本でも、特に大手IT企業や外資系企業を中心に「週2~3日の出社」が求められるケースが増えており、表立って語られないまでも、実態としては“コーヒーバッジング的な働き方”をしている人も少なくありません。
コーヒーバッジングはおすすめの働き方なのか?
メリット
コーヒーバッジングには、一定の柔軟性と自由度があります。
- 最低限の出社で済むため、通勤による時間的・身体的負担を軽減できる
- ワークライフバランスを維持しやすい
- 自宅で集中できる業務を選んで効率的に進められる
- 職場に“顔を出す”ことで最低限の関係性は維持できる
デメリット・リスク
一方で、以下のようなリスクも存在します。
- 「形だけ出社する人」として周囲や上司から信頼を失う可能性がある
- 対面のコミュニケーションが少ないことで、情報格差や孤立が生まれやすい
- 昇進・プロジェクトへのアサインなどキャリア上の不利が起こりうる
- 企業側が監視強化や出社ルールの厳格化に動く可能性もある
つまり、メリットもある一方で、中長期的なキャリアや勤め先での関係性の悪化といったリスクには、注意が必要です。
コーヒーバッジングが生まれた背景は「価値観のギャップ」

この働き方が象徴しているのは、「働き方に対する価値観のギャップ」です。
従業員 | 企業 |
---|---|
成果主義や柔軟性、自律的な働き方を重視 | オフィスの役割を重視 (コラボレーション・文化の醸成・管理) |
このズレが埋まらない限り、コーヒーバッジングのような“形式だけの出社”が続いてしまいます。
また、コーヒーバッジングは「成果を出せば働き方は問わない」という方向に進んできた近年の流れに対する、“プレゼンス(存在感)重視”への逆戻りとも言えます。
めのめの場合

私自身、勤務先で“ゆるやかな出社ルール”が導入され、週に数回の出社が求められるようになりました。
その中で意識しているのは、書類仕事はもちろんこと、「出社するならオフィスでしかできない仕事に集中する」ということです。 部下とも話し合い、オフィスワークを効果的に生かせる業務を洗い出してみました。

- 新しいメンバや新しい取引先との関係構築
- 中長期的なテーマをグループセッション
- クリエイティブなアイデア出し
これらの業務は、実際に取り組んでみてもオフィスの方が良い結果を生むと手ごたえを感じています。

一方で、「なぜ出社するのか」が曖昧な指示や、現場任せの対応になっている企業では、従業員のコーヒーバッジングが増えていくのも無理はないと感じています。
理想の働き方を考えてみよう

コーヒーバッジングという言葉は、単なる働き方の変化ではなく、企業と従業員の信頼・柔軟性・価値観の在り方を問うシグナルです。
この記事を読んだあなたも、自分にとって「出社とは何か?」「どんな働き方が理想か?」を一度考えてみてください。
そして、企業や上司の方針にただ従うのではなく、自分の価値観やキャリアの方向性をもとに、納得できる選択ができるようにしていきましょう。
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