オフィスと在宅、いいとこ取りのはずのハイブリッドワーク。
ところが実際は、出社前の準備や移動のバタバタ、情報機器の持ち運びによるミス、集中力の乱れなどに悩まされ、「思ったより生産性が出ない」「ミスが増えた」と感じていませんか?
ハイブリッドワークは、自由度が高いぶん、自分で「整える力」が必要な働き方です。
本記事では、在宅勤務を含むハイブリッドワーク歴5年以上で現役ハイブリッドワーカーの”めのめ”が、生産性とセキュリティを両立する実践的な対策を3つの視点でお伝えします。
ハイブリッドワークは付き合い方をしっかりと整えれば、生産性・自由度・柔軟性を兼ね揃えた働き方となります。「今すぐ改善できるヒントが欲しい」という方は、ぜひ続きを読んでみてください。
ハイブリッドワークで生産性が落ちる理由とは?

ハイブリッドワークとは、オフィス出社と在宅勤務(テレワーク)を組み合わせた働き方のことです。
最近では「完全在宅」から「週1〜2日は出社」といったハイブリッドスタイルに切り替わっている人も多いのではないでしょうか?
在宅勤務の柔軟さと、オフィスならではのコミュニケーションや集中空間――。
両方のメリットを享受できるようにも思える一方で、ハイブリッドワークで生産性を落とす人も少なくありません。
結論からいうと、ハイブリッドワークで生産性が落ちる一番の要因は、切り替えにともなう「余計な判断と準備の増加」です。
たとえば──
- 出社日と在宅日で使うツールや環境が違い、毎回設定や準備に時間がかかる
- ノートPCや資料などの“物理的な持ち運び”が必要で、ミスが起きやすい
- 移動や支度に時間が取られ、作業時間が減る
- 設定や持ち運びにミスが起きると、1日の作業に大きな制限がでる
- 「次は何をやるのが効率的か?」と都度悩むことで、意思決定に時間とエネルギーを消耗する
このように、環境の変化によって思考の負荷や作業の段取りが複雑化し、本来注ぐべき「仕事そのもの」への集中が削がれてしまうのです。
私自身も在宅勤務と出社を繰り返す中で、仕事に集中できない日やうっかり忘れ物で朝からバタバタ…という日を何度も経験しました。
そうした反省からたどり着いた結論が、「ハイブリッドワークには、ハイブリッドな規律が必要」ということです。
失敗から学んだ、生産性を落とさないコツ3選

1. 「どこでやるべき仕事か?」を事前に整理する
オフィスと在宅、それぞれに向いている業務は異なります。
在宅勤務 | オフィスワーク |
---|---|
資料作成 集中を要するタスク Web会議(特に連続するもの) | OJTなど新チーム、新メンバの立ち上げ 対面打合せや1on1 アイディアだしディスカッション 手続き系など紙を使った業務 機器の受け取り/返却/交換 |
「どこで、何をやると効果的か?」を明確にしておくだけで、予定の立てやすさとパフォーマンスの再現性がぐっと上がります。
特に、「せっかく出社したのに、在宅でもできる仕事しかなかった」という事態を避けられるのは大きなメリットです。
わたしは機器の受け取りや顧客との対面の打合せ、新メンバの受け入れなど、出社が必要になる日に書類処理やグループディスカッションといった予定を意図的に詰め込んで、移動の手間も含めて納得感のある時間に変えられるようにしています。
他にも企画系などの曖昧で空中戦になりがちな仕事や、スピード感が必要な緊急対応は、1か所に集まることが効果的なシーンは多いです。これは、対面コミュニケーションが情報伝達に優れているためです。

IT業界においては企画や要件定義のような上流工程や、システム障害発生時の対応などがこれにあたります。
わたしも、チームの仕事でコミュニケーションロスが問題だと分析した場合は、一度オフィスで集まって会話することを提案するようにしています。
2. ハイブリッドワーク専用のスケジュール設計をする

ハイブリッドワーク最大の敵は、「切り替えコスト」です。
オフィス⇄在宅を行き来するたびに、持ち物準備・移動・ PC 立ち上げ・ツール設定など小さな手間が雪だるま式に増え、集中力も体力も削られ、生産性を蝕んでいきます。
出社日を「なんとなく出社して仕事をする日」ではなく、このロスを限りなくゼロに近づけるためにスケジュールをきっちり設計することで、ハイブリッドワーク全体の生産性をあげていきましょう。
具体的には以下の4ステップで進めましょう。
在宅でのWeb会議と違い、マウス操作1つで切り替えできません。スペース移動が発生する会議はアジェンダの調整や、移動時間を予定にいれるなどの工夫をしましょう
電車利用の場合は時間や路線も調べてスケジュールに書いておくのがおすすめです。その上で、ある程度のトラブルが起こっても大丈夫なように余裕をもたせましょう。
折角の出社の機会です。都合のあう人がいれば、対面での打ち合わせに変更するなど調整してみましょう。
事前に整理していたオフィスでやるべき仕事をスケジュールしましょう。オフィスワークを増やしたくないのであれば、溜まっていたものを全部消化するつもりで詰め込むのです。
ポイントは「できるだけ予定を埋めてしまうこと」です。
出社当日にやることが全て計画されていることで、判断の回数が減ります。
また、やることがハッキリしているので必要な準備も明確になり、忘れ物も減らせる効果もあります。
毎日「今日はどこで働く?」と考えるのも、実は意外とストレスです。
業務上可能であれば、曜日などで出社・在宅の日程をある程度固定しておくのもおすすめです。
「毎週水曜は出社」と決めておけば、スケジュールも組みやすいですし、持ち物の準備や心構えも習慣化されミスが減ります。
完璧でなくても判断回数を減らすだけで集中力が温存され、日々の生産性が安定しやすくなりますし、家庭内の調整もしやすくなるので良いことづくめです。
3. 出社前日の“仕込み”が明日の生産性を決める
最後に大事なのは、「出社前日の準備」です。
翌日をミスなく生産性高く過ごすために、在宅勤務での仕事にキリを付けて、翌日の仕込みを行いましょう。
翌日に向けたパッキング
バッグにPCや社用スマホ、入館証などをセットしましょう。翌朝、そのまま持っていくだけの状態がベストです。
忘れ物防止や判断回数を減らして朝のパフォーマンスを落とさないというメリットの他に、前日の「業務を切り上げる儀式」としても有効です。
出社先でのルールの再確認
入館ルールや会議室予約など、オフィス特有のルールも再確認しましょう。
久々の出社ですと忘れていることもそうですが、ルール自体がアップデートされていることもありがちです。
- ICカードの期限が切れていないか
- 会議室の予約がとれているか
- 印刷方法が分かるか
- ネットワークへの接続方法を忘れていないか
機器やサービスのチェック
在宅時と出社時で利用するPCやサービスが違う場合は、事前に立ち上げやログインをして、問題なく利用できることを確認しましょう。
出社してパソコンのパスワードが思い出せなかったり、OSやソフトウェアのアップデートが走り出すと、その日の生産性が著しく落ちます。
「出社チェックリスト」を作る
これら前日の仕込みの効率をあげるため、持ち物や準備すべきことをリスト化しておくがおススメです。
モノだけでなく、オフィスで処理したい予定のタスクもため込めるようにしておくと◎。
ハイブリッドワーカーはセキュリティリスクにも対策を

とある出社日の話です、ある顧客オフィスで2時間の打ち合わせがありました。
会議がギリギリまで伸びたうえ、すぐに自社オフィスに移動して別の会議が控えていたため、わたしは慌てて荷物をかき集めて移動しました。
資料投影用のノートPC、スマホ、充電ケーブル、筆記用具、ペットボトル…とにかくすべてを急いでバッグに詰め込み、すぐに移動して次の会議へ突入。ようやく終わってデスクに戻ったとき、バッグのどこを探してもスマホが見当たらない。
頭が真っ白になりながら焦って探し回った結果、普段は使わないズボンのポケットからひょっこり出てきて、なんとか事なきを得ました。
ハイブリッドワークは情報媒体や機器を持ち運んでの移動が多い都合上、セキュリティリスクの高い働き方です。
持ち物の置き場所を固定するなどの工夫ももちろん有効ですが、
- 在宅とオフィス、それぞれやるべきことを明確にし、持ち運ぶべきものを最小限にする
- 移動は持ち物整理なども含めて時間がかかるものと割り切り、余裕を持ったスケジュール設計を行う
- 前日に最新方法を確認し、持ち物やスケジュールを最終チェックする
生産性を高めるための3つのコツが、ミス防止にもセキュリティ対策にもつながる一石二鳥の対策になります。
まとめ:自分だけのハイブリットな規律を作りはじめよう

ハイブリッドワークは、「自由度が高い」ぶん、「自分で整える力」も求められる働き方です。
なんとなく出社して、なんとなく在宅する──
それでは、仕事のクオリティも安定しません。
まずは今日から、
- オフィス・在宅でしかできないこと、やるべきことをそれぞれ書き出してみる
- スケジュールに”準備時間”を入れてみる
- バッグの中身を点検し、要らないものを出してみる
…といった小さな工夫を、ひとつだけでも始めてみませんか?
自分だけのハイブリットな規律と働き方で、在宅勤務とオフィスワークそれぞれの生産性を最大化し、がんばり過ぎずに成果の出せる理想のライフワークを実現していきましょう。
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