
パワハラって言われたくなくて、また見て見ぬふりをしてしまった……



どう言えばいいかわからなくて、結局注意できなかったかった
そんな経験、ありませんか?
実は、同じ悩みを持っている管理職は約70%にのぼります。
「叱れない上司」は決して、あなただけではありません。


こんにちは、めのめです。
IT業界で15年以上働き、現在は管理職として10名ほどのチームを抱えながら、
在宅勤務とオフィス勤務を行き来するハイブリッドワークを続けています。
ここ5年ほど、「自分は部下をちゃんと成長させられているのだろうか」と迷う場面が増えました。
注意したいのに言葉が出てこない。
言えたとしても、その夜「言いすぎたかな…」と不安になる。
そんな経験をくり返しながら、「伝え方」を学んできた過程で、ホワイトハラスメントという概念に出会いました。
- ホワイトハラスメントとは何か
- 管理職の約70%が同じ悩みを持っているという事実と、放置するリスクのデータ
- 「指導できる上司」が希少人材として評価される理由
- パワハラにならない指導 5つの伝え方
この記事を読み終えるころには、自分がホワハラをしているかどうかを客観的に判断できるようになり、
明日から試せる「パワハラにならない伝え方」が手元に残っているはずです。
さっそく整理していきましょう。
ホワイトハラスメントとパワハラの違い


ホワイトハラスメント(ホワハラ)とは、上司が部下に過剰に配慮するあまり、仕事を与えなかったり指摘を避けたりすることで、部下の成長機会を奪ってしまう行為のことです。
「配慮しているのに、なぜハラスメント?」と思うかもしれません。
パワハラが「怒鳴る・詰める・過剰な要求をする」という攻撃する行為なのに対して、
ホワハラは「なにも言わない・楽な仕事だけ与える・機会を遠ざける」という配慮しすぎる行為です。
加害者に悪意がないぶん、気づきにくい——それがホワハラの厄介なところです。
ホワハラという言葉が生まれた背景
2020年にパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行されてから、
職場での「怒る・叱る・厳しく指導する」といった行為に対して、世間の目は厳しくなりました。
その結果、多くの管理職が「少しでも強い言葉を使ったらアウトになるかもしれない」という恐怖から、
指導そのものを避けるようになっています。
「怒る=パワハラ」という誤解が広まり、それが「なにも言わない上司」を量産している——
これがホワハラが増えた背景です。



わたし自身、パワハラ防止法の施行前の時代で育ち、施行後に部下が増えた立場です。「どこまでが指導でどこからがアウトなのか」が、自分自身の経験が頼りにならない状況でとても悩みました。
いくつ当てはまる?自己チェック
まず、自分がホワハラをしているかどうかを確認してみましょう。
- 部下がミスをしても、関係が悪くなるのが嫌で指摘できない
- 本人に確認せず、負担になりそうな仕事を回さないことがある
- 期待する役割・成長の方向性を、部下に伝えていない
- 問題行動(遅刻や期限遅れなど)を、「大した問題ではない」で流している
- 1on1や日常会話で、業務の評価や改善点をほぼ話さない
2つ以上当てはまった方は、意図せずホワハラをしている可能性があります。
でも、焦らなくて大丈夫です。
「気づいた」ことがすでに、大きな一歩です。



わたしは最初、全部当てはまっていました。「配慮しているつもり」が、実はそうじゃなかったと気づいたときは正直、少し衝撃でした。
管理職の7割が指導をためらっている


「指導を避けてしまう」のは、あなただけではありません。
2026年の調査では、「本来はもっと厳しく指導すべきと思いつつ、パワハラと言われることを恐れて指導を控えた経験があるか」という質問に、68.34%の上司が「ある」または「意識して手加減する」と回答しています。
つまり、管理職の約7割が同じ葛藤を抱えながら、毎日部下と向き合っているわけです。
めのめMEMO
ここ5年で、わたし自身の指導スタンスはかなり変わりました。リーダーになりたての頃は「教えれば成長する」と思っていたのですが、いつの間にか「相手が折れるのを避ける」という気持ちが先に立つようになっていました。
あるとき、チームの中堅メンバーが「自分が評価されているかどうかもわからない」とこぼしていたのを聞いて、はっとしました。わたしは「優しくしているつもり」だったのに、相手には「何も期待されていない」と映っていたのです。
配慮のつもりが、逆に不安を与えていた——これがホワハラの怖さだと実感しました。
“指導しない”は部下にも自分にも損


「指導を避けることで、ひとまず平和が保たれる」と感じるかもしれません。
しかし実際には、放置するほど状況は悪化していきます。
部下が受けるダメージは想像より大きい


指導を避けることが続くと、部下は「自分はここに必要とされていないのかもしれない」と感じはじめます。
ホワハラを経験した人の71.4%が転職を考えたと回答しており、経験のない人(48.1%)との差は23ポイント以上にのぼります(2026年調査)。
「怒られないけど、何も言ってもらえない」という環境は、部下にとって成長の機会がない職場です。
スキルが積み上がらないまま年齢を重ねることは、部下自身の市場価値の低下にもつながっていきます。
上司自身の評価・指導力も落ちていく


部下への影響だけではありません。
指導を続けない上司は、自分自身の管理職としての力が落ちていきます。
「チームの成果が出ない → 自分の評価が下がる → さらに指導しづらくなる」という悪循環に入ると、そこから抜け出すのは難しくなります。
管理職の仕事は「成果を出すこと」だけでなく、「チームメンバーを育てること」でもあります。
この二つを両立できない状況が続けば、社内での評価も下がっていくのは自然な流れです。



「部下が勝手に育つ」を待ち続けた時期がありましたが、それは甘い考えでした。部下が育つ環境や条件を整えることも、上司の仕事のひとつなんだと、あらためて気づかされました。
指導できる上司が”希少人材”になる時代


ここまでの話を聞いて、



指導しないのはまずいとわかった。でも実際にするのはやはり怖い。
という方もいるかもしれません。
そこで、少し視点を変えてみましょう。
約70%の管理職が指導をためらっているということは、
しっかり指導できる上司は、今の職場でたった3割しかいない希少な存在だということです。
「パワハラにならない範囲で適切に部下を育てられる上司」は、これからの時代にますます価値が上がります。
AIが定型業務を代替していく中で、人間に求められるのは「考える力」と「育てる力」です。
指導力のある管理職は、転職市場でも社内評価でも、明確な強みになります。
- チームの成果が上がり、社内評価につながる
- 「育てられる管理職」として転職市場での評価が上がる
- 部下との信頼関係が積み上がり、チームが回りやすくなる



指導が少しうまくいくようになってから、チームの雰囲気が変わり、良い循環がまわり始めた実感があります。「この人は自分のことを見てくれている」と思ってもらえるだけで、部下の向き合い方が変わるんだと気づきました。
パワハラにならない指導の伝え方5つ


では、具体的にどう伝えればいいのでしょうか。
ここからは、実践で使えるコツを5つに絞って解説します。
①人格ではなく”行動・結果”を指摘する
指導が「パワハラ的」に受け取られる最大の原因は、相手の人格や性格を否定する言い方をすることです。
指摘するのは「人」ではなく、「その行動・その結果」——この一点を意識するだけで、伝え方は大きく変わります。



なんで毎回こうなるの?ちゃんと考えてる?



今回の報告書、数値に2か所誤りがあったよ。
提出前にもう一度チェックする流れを作れると、次から防げると思う。
「あなたはいつもそう」ではなく、「この報告書のこの数値が」と具体的にすることで、
受け取る側も反論しにくくなり、改善行動に向かいやすくなります。



ミスや失敗を繰り返す部下に、マインドや意識を指摘したくなる気持ちは痛いほどわかります。それでも、マインドや意識は他人が直接指摘して変わるものではありません。上司にできるのは、その気付きの機会を与えることだけです。
②”事実→影響→期待”の3ステップ
指導の言い方に迷ったときは、この3ステップを使うと整理しやすくなります。
感情的にならず、かつ相手に伝わりやすい構成です。
事実を伝える
何が起きたかを、感情を排して具体的に述べる。
例:「先週の金曜日、14時の打ち合わせに5分遅刻がありました」
影響を伝える
それによって生じた影響を、具体的に伝える。
例:「クライアントをお待たせしてしまい、その後の進行が10分ずれました」
期待を伝える
次からどうしてほしいかを、前向きな言い方で伝える。
例:「打ち合わせの10分前にはスタンバイしてもらえると安心です」
この流れで伝えると、「怒っているのではなく、改善してほしい」というメッセージが相手に届きやすくなります。
最初はぎこちなくて当然ですが、型があると気持ちが落ち着きます。
③”心理的安全性”の正しい意味を知る
「心理的安全性が大事だから、叱らない・詰めない職場にしよう」と考えている上司は多いです。
しかし、心理的安全性とは「叱られない楽な職場」ではなく、「挑戦しても不当に罰せられない環境」のことです。
高い目標を掲げながら「失敗してもまずは挑戦したことを認める」姿勢が、本来の心理的安全性です。
「なにも言わない」ことは安心ではなく、「何を期待されているかわからない不安」を生みます。



叱られない職場の方が、みんな安心できるんじゃないの?



「何も言われない」のは安心じゃなくて、不安なんです。
「自分は期待されていないのかも」と感じさせてしまう方が、チームにとってはずっと怖いと思います。
心理的安全性についてはこちらの記事も参照してみてください


④指導の前に関係を作る
どんなに正しい指導でも、関係ができていない相手には「攻撃」として受け取られることがあります。
指導が「刺さる」かどうかは、日頃の関係の積み重ねで決まります。
めのめMEMO
わたしが意識しているのは、1on1を通して「仕事に熱中できるポイント」を見極めることです。
成果やタスクの進捗を確認する場になりがちですが、「どんな状況にやりがいを感じているか」「仕事をしていて苦痛に感じていることはないか」という話ができると、お互いの理解が深まります。
本人も明確にできていないケースが多いですし、わざわざ仕事を「辛い時間」にしたい人はいません。
1on1を通して、「本人が前向きに取り組める仕事の受け止め方」を言語化してあげることで、信頼関係の構築に繋がります。
日常のちょっとした声かけも大事で、「最近どう?」「あれ、うまくいった?」の積み重ねが、指導の言葉が届きやすい関係をつくります。
慣れ合いとは違います。「この人はちゃんと自分を見てくれている」という信頼感が、指導を受け入れてもらえる土台になります。
「部下に嫌われるのが怖い」という方はこちらの


⑤期待と理由もセットで伝える
最後に、わたしが実際に意識して使うようになった言い方を共有します。
指摘だけで終わると、受け取る側は「ダメ出しされた」という印象になりがちです。
そこで、指摘の後に「あなたならできる」という期待を一言添えるようにしています。



「今回は納期がずれてしまったよ。次は前日の夕方に一度確認を入れてもらえる?前回の顧客調整もうまくこなしてくれた通り、○○さんは段取りが得意だから、意識するだけで変わると思う」
「指摘(+理由)+期待(+理由)+肯定」を一セットにすることで、指導が”叱責”ではなく”サポート”として届きやすくなります。
最初はぎこちなくても大丈夫です。
「うまく言えなかった」としても、「伝えようとした」こと自体が、部下との関係に少しずつ積み上がっていきます。



完璧な言い方じゃなくていい。「伝えた」という事実が、信頼の土台になると思っています。
まとめ|まず一歩、伝えてみることから
ホワイトハラスメントとは、善意の配慮が部下の成長や可能性を奪ってしまう行為です。
パワハラを恐れるあまり「何も言わない」選択をし続けることは、双方にとってマイナスになります。
- ホワハラとは「配慮しすぎて部下の成長機会を奪う行為」。パワハラとは逆の形のハラスメント
- 約70%の管理職が同じ悩みを抱えている。「自分だけ」ではない
- ホワハラを経験した部下の7割が転職を考え、上司自身の評価・指導力も落ちていく
- 指導できる上司は今や希少人材。社内評価・転職市場の両方で価値がある
- 「人格ではなく行動を指摘」「事実→影響→期待の3ステップ」から今日始めてみよう



完璧じゃなくていい。まず一度、会話してみよう。
指導は技術です。最初からうまくできる人はいません。
ためらいながらでも言葉にしてみること——その小さな一歩が、部下との信頼の土台になっていきます。
「うまくいかなくて当然」という前提で、まず一つだけ試してみてください。
あなたのその一言が、部下の成長のきっかけになるはずです。
職場の時間をもっと効率よく使いたい方には、会議の減らし方・断り方の記事もあわせてどうぞ。


「本来はもっと厳しく指導すべきと思いつつ、パワハラと言われることを恐れて指導を控えた経験があるか」の問いに68.34%が「ある」または「意識して手加減する」と回答。ホワハラ経験者の71.4%が転職意向あり(経験なしは48.1%)。
出典:弁護士保険ステーション「ホワイトハラスメントとは?2026年調査で分かった実態とよくある事例を解説」







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