
上司の指示がないと動けない…



自分から提案したいけど勇気が出ない
──そんな悩みを抱えていませんか?
仕事に前向きに取り組みたいのに、つい指示を待ってしまう自分にモヤモヤする。
変わりたいけど、どう行動すれば良いか分からない。
そんな状況は、多くの若手社員が直面する“指示待ち人間”の典型です。


現代のビジネス環境は変化が激しく、確かに企業は社員一人ひとりに自ら考え、行動する「自走力」を求めています。
でも安心してください。
「自走力」は段階を経て主体性を発揮することで養うことが可能なスキルです。
最初から完璧に自立しなくても大丈夫なのです。
この記事では、会社員歴15年以上、現役で10名以上の部下を持つ筆者が、
無理なく自分から動き始める「ゆる自走」の考え方と、今日から実践できる具体策を解説します。
小さな一歩を積み重ねることで、あなたの仕事の主体性は自然と高まります。
この記事を読んで「今日できる一歩」を見つけ、現代社会で求められる「自走できる人材」に近づいていきましょう。
“ゆる自走”から始め、継続しよう


結論から言うと、指示待ち人間を脱出する最短ルートは「完璧な自立を目指さず、“ゆる自走”から始めること」です。
“ゆる自走”とは、いきなり大きな成果や完璧な判断を求めず、
小さな目的意識・思考習慣・行動を少しずつ積み重ねることを指します。
たとえば…
- 会議で1回意見を言う
- 資料作成で1つ自分の工夫を加える
- 次の上司との対話に向け、確認したいポイントを1つ自分で整理する
──そんな小さな行動でも、積み重ねることで自然と「自分から動くクセ」がつきます。
重要なのは、今日からできる範囲で自走を始め、実際に実行して積み重ねることです。
アクションが完璧である必要はありません。
自ら動くこと、そして行動の結果を受け止めて、次の行動に反映すること、これが自走の本質です。
小さな一歩の繰り返しが、やがて周囲からも評価される自走力につながります。


現在社会で自走力が求められる理由


自走力は、現代社会を生き抜くために欠かせないスキルになっています。
企業が会社員に求めているのと同時に、「会社が守ってくれる」前提がもはや過去のものになっている現在では、
自走力こそがあなた自身が会社に依存せずに生きていくための安全装置です。
その背景を3つの視点から整理します。
変化が速すぎるビジネス環境
テクノロジーの進化、働き方の多様化、業界構造の変化は、数年前の常識をあっという間に過去のものにします。
上司や会社がすべての指示を出してから動くスタイルでは、変化のスピードに対応できません。
自分で学び、判断し、動く力を持った人材が社会全体で求められています。
フラット化する組織とマネジメントの変化
年功序列や細かい指示型のマネジメントは減少し、少人数で成果を出すチームが増えています。
上司は「部下の細かい管理」よりも「成果を出す環境づくり」に注力するようになり、
一人ひとりが主体的に動くことが前提の組織設計になってきています。
そんな仕組みの中で、いつまでも指示待ちの人間は評価が得られず、キャリアの停滞につながります。
キャリアは自分で築く時代
終身雇用が当たり前だった時代は終わり、転職や副業、複業が一般的になりました。
会社が用意する“キャリアレール”に乗っていれば安泰、という保証はありません。
自走力は、自分のキャリアを選び、チャンスを掴み取るための基礎体力です。


なぜ指示待ちになるのか:背景と心理


「自分から動きたいのに、一歩目が出ない」──そんな状態には、環境と心の両面が影響しています。
職場文化と上司部下の関係
日本の多くの職場は、“上の指示に従うのが正しい”という文化が根強く残っています。
新人時代から「まずは言われたことを完璧にこなす」ことを評価されてきた人ほど、
自分の判断で動くより指示を待つ方が安全だと学習してしまいがちです。
さらに、上司も忙しさから「指示がないと動けない部下」を前提にマネジメントしているケースも少なくありません。



会社側も時代に合わせた人材育成のアップデートが追い付いていないことが多いです。
何より、自分が育ってきた時代とのギャップに、育成や指示に悩むマネジメント層はそれ以上に多いのが現状です。


失敗への恐怖
もう一つ大きいのが、失敗を極端に恐れる気持ちです。
「もし間違えたら評価が下がるかも」「上司に迷惑をかけたらどうしよう」という不安が、
主体的な行動をためらわせます。
完璧を求めるあまり、動く前に考えすぎて身動きが取れなくなる人も多いものです。



自身の意見やアウトプットに指摘を受けると、自分自身を否定される気持ちになる方も多いです。「改善に向けた意見をもらった」とマインドチェンジしないと中々打開が難しいケースです。


目的の不明確さ
見落とされがちなのが、仕事の“目的”がぼやけていること。
「何のためにこの作業をしているのか」が自分の中で整理できていないと、判断軸がなくなり、
「とりあえず上司の指示を待とう」という選択に流れやすくなります。



性格や気質は積極性がありそうに見えるのに、行動が指示待ちになっているケースはこのタイプが多い印象です。
このように、指示待ち状態は“能力不足”ではなく、環境・経験・心理が重なった結果です。
だからこそ、ここから抜け出すには環境を変えずともできる小さな一歩を積み重ねる「ゆる自走」が効果的なのです。
今日から始める“ゆる自走”4ステップ


指示待ちから抜け出すには、いきなり大きな改革をする必要はありません。
目的を問い直す → 考える習慣をつける → 小さく動く→結果の振り返り
この順序で、少しずつ自分の意思で動く力を鍛えていきましょう。
まずは、日々の仕事の「なぜ?」を言語化することから。
「この資料は何のために作るのか」「誰がこれを使うのか」など、
目的を理解するだけで判断軸が生まれます。
上司に「今回のゴールはどこですか?」と確認するのも立派な行動です。
自分の言葉で目的を整理することで、次の行動を自分で選びやすくなります。
作業中に1日1回、「もし指示がなかったら自分ならどう進める?」と考えてみましょう。
たとえ最終的には上司の判断を仰ぐとしても、自分の案を持つ習慣がつきます。
考えるだけでも、上司からの指示を受けた際に理解や対応が早くなり、自信につながります。
次は、実際の行動に落とし込む段階です。
- 会議で1回、自分の意見を述べる
- 資料に1つ、自分なりの改善提案を加える
- 気づいた課題をメモにまとめて上司に共有する
- 作業の目的を自分の言葉にし、上司に確認してみる
こうした小さな動きが「自分から動いた」という成功体験になり、次の一歩を後押しします。
最後は、行動後に「何がうまくいったか/課題は何か/もらったコメントは」を振り返ります。
改善点をメモし、次回の一歩に反映することで、次への自発的なアクションに繋がりm
成長サイクルが自然に回り始めます。
ポイントは、完璧を目指さないこと。
「今日は目的を確認しただけ」「1回意見を言えただけ」でも十分です。
大事なのは継続して続けること、小さな積み重ねが、あなたを“指示待ち人間”から自然に解放していきます。
“自走している人”の振る舞い
ゆる自走を始めたら、次は周りからも「自走している」と認識される振る舞いも意識しましょう。
自分では少しの変化でも、周囲から見ると評価につながる行動があります。
目的・目標を理解し共有する


単に作業をこなすのではなく、「何のためにこれをやるか」をチームに発信ことが大切です。



この資料は来週の会議で意思決定をスムーズにするために作っています



今回の施策の目的は、問い合わせ対応の時間を短縮することです
目的が共有されると、上司や同僚も安心してあなたに任せやすくなります。
このとき、間違いや方向の修正をコメントされても気に病むことはありません。
むしろ、このようにフィードバックをもらい、周囲とすり合わせを行うことで、
次のよりよい行動に繋がります。
情報を自ら集め仮説を立てる


必要な情報を待つのではなく、自分からリサーチして仮説を立てる習慣をつけます。
- 前回の施策データを整理し改善案を提示
- 類似プロジェクトの成功案件からドキュメントや計画を流用
- 公開されている他社事例を参考に新技術の利用検討を提案
「調べてから報告してくれる人」という印象は、自然に信頼につながります。
進捗を報告し巻き込み力を発揮する


自分の行動を見せるだけでなく、チームに状況を伝え、必要なサポートを引き出すことも評価ポイントです。



資料は半分作成済みで、明日レビューいただけると助かります



この技術は未経験のため、相談先になる部署やメンバを相談させてください。
小さな報告でも、自分が動いていることを周囲に伝えることで「自走している」と認識されます。
勘違いされがちですが、「困って助けてほしい」というメッセージも、
「課題やリスクを正しく捉え、必要に応じて周囲にサポートを要求できる」
という評価に繋がるのです。
回避必須!ありがちな間違った自走パターン4選


ここまで自走するための振る舞いを説明してきました。
注意してほしいのは主体的に動こうとする姿勢は重要ですが、
その方向性を誤ると、かえって逆効果になったり、周囲との軋轢を生んだりすることがあるという点です。
ここでは、ありがちな間違った自走のパターンとその問題点について解説します。
やみくもに動く「行動先行型」
特徴 | 思いついたことをすぐ行動に移すが、目的や優先順位を考えない |
---|---|
問題点 | 周囲からは「空回りしている」「自己満足で動いている」と見られやすい |
回避策 | 行動の前に「何のためにやるのか」を必ず整理する |
完璧主義で動けない「考えすぎ型」
特徴 | 自走したいが、失敗が怖くてなかなか動けない |
---|---|
問題点 | 結局指示待ちと変わらず、成長機会を逃す |
回避策 | まずは小さな一歩から。完璧でなくても動くことが自走の第一歩 |


自己判断だけで動く「独断型」
特徴 | 上司やチームの意図を確認せず、勝手に判断して行動する |
---|---|
問題点 | 方向性がずれると信頼を失いやすい |
回避策 | 目的やゴールを共有しつつ、自分のアイデアを提案する形で行動する |



組織文化やルールを無視した自走もこのケースですね
目的と手段が入れ替わった「見せかけ型」
特徴 | 自走することだけに意識が向き、実際の成果や改善が伴わない |
---|---|
問題点 | 短期的には目立っても、中長期的に評価されない |
回避策 | 目的とそれに見合った成果を意識し、周囲に共有することで自然に評価される |



このケースは指摘すると、自走を控えてしまう…という悪循環に陥りがちです。指導者は行動と成果を切り分けて、褒めるところは褒め、指摘するところは指摘するように注意が必要です。
小さく始めて、自分の一歩を育てよう


“指示待ち人間”から抜け出すことは、特別な才能や劇的な環境の変化が必要なわけではありません。
今日からできる「目的を確認し、自分で考え、動き、振り返る」この4ステップを繰り返すだけで十分です。
完璧を目指さず、まずは「会議で1回意見を言う」「上司に目的を確認してみる」といった
身近な行動から始めてみてください。
その一歩が、周囲からの評価を変え、あなた自身の成長サイクルを確実に動かしていきます。
「ゆる自走」は、無理なく続けられる“今日からの習慣”です。
あなたの小さな一歩が、未来の大きな自走力へ間違いなくつながります。
この記事があなたが一歩を踏み出す手助けになれば嬉しいです。
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