「モチベーションをあげたいんですけど、どうすればいいんでしょうか?」
管理職という立場柄、若手と会話をする中で、こうした言葉をよく耳にします。かつての自分もそうだったから、その気持ちはよくわかります。
仕事を覚えて1人前と呼ばれるようになったころ。忙しさはあるけれど、やる気が出ない。毎日なんとなく仕事をこなす中で、「もっとモチベーションが上がる仕事があるんじゃないか?」と考えることもありました。
そんなある日、大学時代の友人と久々に飲みに行ったときのこと。
第一志望の企業に就職し、やりたい仕事を手にしたはずの彼が、しんどそうな顔でこうつぶやいたのです。
「仕事自体は楽しいんだけどね」
乾いた笑みに、私ははっとしました。
結局、仕事って何なんだろう?
モチベーションを上げるために、何かを変える必要があるのか?
そんな自問を経て、自分なりにあるひとつの結論に行き着きました。
結論:会社員の仕事に「モチベーション」は求めすぎない方がいい
なぜなら、会社員の仕事は「やりたいこと」よりも「やるべきこと」で成り立っているからです。
業務内容や進め方は、自分で選べないことが多い。
理不尽なこともあるし、誰と働くかすら選べません。
自分でコントロールできない「外的要因」が多すぎます。
そんな環境で「常にモチベーションを高く保つ」のは、構造的に無理があるのです。
つまり――
「“やりがい”や“モチベーション”が仕事から与えられるもの」という前提にすると、苦しくなって当然なんです。
「モチベーションありきの仕事観」が自分を苦しめる
世の中には、「やりがいのある仕事をしよう」「好きなことを仕事にしよう」というメッセージが溢れています。
それ自体は良いことですが、これを「常にそうでなければいけない」と思い込むと、逆にしんどくなってしまいます。
たとえばこんな風に自問し続けて疲弊してしまう。
やりがいが感じられない=ダメな仕事なのでは?
毎日ワクワクしない自分は、向いてないのかも……
このままでいいのだろうか

でも、それって本当に“仕事のせい”なんでしょうか?
あるいは、「モチベーションが常に必要だ」という思い込みに、苦しめられていませんか?
会社員という働き方は、多くの人にとって悪くない選択肢
一方で、会社員という働き方にはたくさんのメリットがあります。
- 安定した収入と社会的信用
- 福利厚生や有給休暇といった制度
- 組織だからこそできる大きな仕事への関与
- 経験の少ない段階から育ててもらえる環境
これらを手にしながら、生活の基盤を整えたり、家族との時間を確保したり、自分の土台を作っていくことはとても現実的でありがたい選択だといえます。
私自身養っていくべき家族がいる環境で、会社員で居続ける一番の理由はこの安定感です。
モチベーションは「いつも高くあるべきもの」ではなく、波があって当然。
会社員として働くことが「不自由な選択」ではなく、「自由を得るための一段階」だと捉えると、見え方が大きく変わります。
大事なのは、仕事への“向き合い方”を変えること
会社員として働く以上、仕事内容も人間関係も、自分の思い通りにコントロールできるとは限りません。
だからこそ、「やる気が出ない」「仕事に熱中できない」という状況に陥るのは、ある意味“自然なこと”とも言えます。
けれど、それにずっと振り回され続けるのはやはりしんどいし、成果は出したい。
その結果、わたしは「モチベーションが上がらない」という悩みに対して、
仕事にモチベを求めすぎない考え方を取り入れるようになりました。
「この仕事が楽しいか?」ではなく、「この仕事をどう乗りこなすか?」
仕事をこなすことは前提として受け止め、モチベーションは受け身になるのではなく、自分で作り込んでいく。
このマインドチェンジだけで、同じことをやるにも前向きに捉えられるようになりました。
おわりに:モチベーションをどこに求めるのか
私はモチベーションそのものを否定しているわけではありません。
仕事においても、モチベーションはあった方がいい。むしろあるに越したことはない。
でもそれは、会社員という仕事において
「仕事が与えてくれるもの」ではなく、「自分で作り込んでいくもの」だと思っています。
会社に期待しすぎず、自分で自分を整えていく。
その姿勢が、会社員としても、自分らしく働くことにつながっていきます。
モチベを“求める”のではなく、自分で“つくる”。
そんなふうに、会社員でも前向きに働く人が少しでも増えると嬉しいです。
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