
責任ばかり増えて、残業代も出ない。これってコスパが悪くない?



管理職、正直向いてない気がする
昇進がみえているとき、
あるいは管理職になって1〜3年ほど経った頃、
そんな違和感を覚え始める人は少なくありません。
仕事の幅は広がったのに、自由な時間は減る。
プレッシャーは増え、成果が出なければ責任を問われる。
それなのに、給与は思ったほど上がらない。
「管理職って、きついだけでは?」
そう感じるのは、とても自然なことです。
今の現場の仕事が楽しい。
プレイヤーとして手を動かしている方が、自分には合っている。
だから”出世したくない”、”管理職は外したい”と考える——
この判断を、すぐに否定するつもりはありません。
ただ、ひとつだけ立ち止まって考えてみてほしいのです。
その選択は、今の気持ちだけで決めてしまっていないか?


実際には、
出世を外したあとになって
“思っていた未来と違った”と感じる人もいます。
それは能力の問題ではなく、
キャリアの見通しを持たないまま、安易に決断してしまった結果であることがほとんどです。
あなたが管理職が向いているかどうか。
あなたにとって、きつさに見合う価値があるかどうか。
この記事では、会社員歴15年以上、現役管理職で10名程度の部下を持つ筆者が、
あたなが”管理職が合わない”と感じたときに、
キャリアから外す前に知っておいてほしい現実と考え方を整理します。
今の判断が、5年後・10年後のあなたを苦しめない選択かどうか。
そのヒントを、一緒に確認していきましょう。
出世を外す前に立ち止まって考えよう


結論からお伝えします。
「管理職がきつい」「向いていない」と感じたとしても、
その理由だけでキャリアから完全に外してしまう判断は、慎重になった方がいいです。
管理職は、確かに楽なポジションではありません。
責任は重く、成果が出なければ矢面に立たされる。
残業代が出なくなり、時間的な自由も減る。
割に合わないと感じるのは、極めて真っ当な感覚です。
ただし、注意してほしいのは、
出世を諦めることは「今のつらさ」から逃げる選択である一方で、
「将来の選択肢」を同時に手放す行為でもあるという点です。
多くの会社では、
非管理職のまま働き続けるキャリアには、どこかで天井が訪れます。
それは評価、給与、裁量、そして仕事の中身にも表れます。
短期的には気が楽になったとしても、
数年後、あるいは10年後に
「こんなはずじゃなかった」と感じる可能性は決して低くありません。


この記事でお伝えしたいのは、
「無理をしてでも管理職を目指せ」という話ではありません。
そうではなく、
リスクを理解しないまま“消去法”で出世を外してしまうことの危うさです。
今の違和感を理由に、
キャリアの可能性そのものを閉じてしまっていないか。
管理職を続けるにしても、外すにしても、
一度きちんと整理してから判断する価値は十分にあります。
中間管理職の仕事を知りたい方はこちらの記事を参考にしてください


“管理職コスパ悪い”と感じる人が増えた理由


近年、そう考える人は、確実に増えています。



管理職は向いていない



できれば出世したくない
これは、個人のやる気や根性の問題ではありません。
多くの人が同じように感じてしまう、構造的な理由があります。
- 報酬と責任が見合っていないと感じやすい
- プレイングマネジャーが前提になっている
- 社会全体として、出世以外の選択肢が見えるようになった
1つずつ説明していきます。
報酬と責任が見合っていないと感じやすい


まず大きいのが、
責任の増加に対して、報酬の上がり幅が小さいという点です。
- チーム全体の成果責任を負う
- トラブル時は最初に矢面に立つ
- 残業代が出なくなるケースも多い
それにもかかわらず、
昇給や役職手当は思ったほどではない。
結果として、



これだけ背負って、この差か……
という感覚が生まれやすくなります。
「コスパが悪い」と感じるのは、自然な反応です。
プレイングマネジャーが前提になっている


多くの職場では、
管理職になったから、マネジメント専任になるという訳ではありません。
いわゆるプレイングマネジャーが当たり前です。
「管理する側」になったはずなのに、
仕事は減るどころか増えていく。
- 自分の業務目標も持つ
- 部下の育成・評価・フォローも行う
- 会議や調整業務も増える



管理職って、きついだけじゃないか
と感じるのも無理はありません。



元々忙しかったが、プレイヤーとしての期待はそのままに、部下の管理から組織運営などの仕事が上乗せされて、働きづめになる……
そんな先輩を見て、出世しなくないと思う経験は誰でもありますよね。
出世以外の選択肢が見えるようになった


もうひとつ見逃せないのが、
一昔前に比べてキャリアの選択肢が増えたことです。
副業、フリーランス、転職、起業。
会社の中で出世しなくても、
生き方や働き方を選べる時代になりました。
その結果、
「無理に管理職を目指さなくてもいい」「今の仕事ができていれば十分」
そう考える人が増えています。
フリーランスに興味がある人はまずこちらを読んでみましょう


“管理職離れ”は自然な流れでもある


これらを踏まえると、
管理職を避けたくなる気持ちは、決して特殊ではありません。
多くの人が、同じ違和感を抱えながら働いている
——それが今の現実です。
ただし、ここで大事なのは、
「みんなそうだから安心していい」という話ではないという点です。



この件に限らずですが、基本的には、周囲の意見やあり方はあくまで参考材料としましょう。
自分で考えて判断をすることが、後悔を少なくし、人生を豊かにする秘訣ですよ。
出世を諦めたときの”長期的なリスク”





管理職がきついなら、無理に目指さなくてもいい
その判断は、短期的に見れば合理的な一面もあるかもしれません。
責任は軽くなり、精神的な負担も減るかもしれません。
ただし問題は、
その選択の影響が、数年後からじわじわ表れてくることです。
多くの場合、後悔はすぐにはやってきません。
- 給与・処遇に“天井”ができる
- 職場での居心地が悪くなっていく
- 市場価値が伸びにくくなる
1つずつ説明していきます。
給与・処遇に“天井”ができる


多くの企業では、
非管理職の給与レンジには上限があります。
20代〜30代前半までは、
大きな差を感じにくいかもしれません。
しかし30代後半~40代に入る頃から、形になってきます。
- 昇給が止まる
- 同期との差が開く
- ボーナス評価に差が出る
静かに、しかし確実に差がついていきます。
さらに、退職金や企業年金は
役職や評価をベースに計算されることが多く、
生涯で見たときの差は、想像以上に大きくなります。



非管理職でもスペシャリストとしてのキャリアが用意されている会社もありますが、多くは管理職の給与レンジより低く設定されていることがおおいです。
また、そもそもスペシャリストは成果の差が出やすく、比べ易いことから、管理職以上に茨の道であることも少なくありません。
職場での居心地が悪くなっていく


出世を諦めると、
避けられない現実があります。
それが、
年下の上司や、かつての部下や後輩に指示される立場になることです。
- 意思決定の場から外される
- 重要な仕事が回ってこなくなる
- かつて指導した人間から、指導や注意を受ける
- 「扱いづらい人」と見られる
頭では理解していても、こうした状況は、
想像以上に自尊心を削ります。
最初は割り切れていても、
年齢を重ねるほど、違和感は大きくなりがちです。



20代や30前半だとイメージしにくいかもしれませんが、あなたの年齢が上がれば、いずれ自分の子供でもおかしくない年齢の社員が入社し、出世していくのです。
果たして、その境遇をイメージできた上で判断できているでしょうか?
市場価値が伸びにくくなる


もうひとつ大きいのが、
転職市場での評価です。
40代以降で評価されやすいのは、
「マネジメント経験がある人」「組織を動かした実績がある人」です。
一方で、
「管理職経験なし」の場合、
相当高い専門性がない限り、
選べる選択肢は一気に狭まります。
管理職経験は、
業界や職種を超えて使える
ポータブルスキルの証明でもあります。
それを持たないまま年齢を重ねることは、
将来の自由度を下げることにつながります。



これは社内でも同じです。
「30代後半になったら昇進を考えればよい」そんな風に考えていませんか?
残念ながら、長年現状維持に甘んじていた30代後半の社員よりも、実務スキルが多少落ちても、熱意のある30歳前後の社員が優先されるのが現実です。
一度諦めきってしまうと、選択肢が狭まるのは社内でも同じなのです。
“今は問題ない”が、ずっと続くとは限らない


出世を諦めた直後は、
「特に困っていない」と感じる人がほとんどです。
ですが、
- 組織の方針が変わる
- 事業が縮小・再編される
- 上司や評価基準、要求スキルが変わる
- 周囲の同僚の顔ぶれが変わる
こうした変化は、
本人の意思とは関係なく起こります。
環境が変わったときに、選べるカードが少ない状態
——これが、出世を外す最大のリスクです。
昇進のメリット・デメリットを考え直したいという方はこちら


出世を外した先にある3つの未来


出世を諦めること自体が、
必ずしも不幸につながるわけではありません。
ただし、その先にはいくつかの典型的な未来があります。
- スキルが更新されず”社内専用人材”になる
- 年下上司との関係に疲れ、居場所を失う
- 管理職を避けた結果、過酷な専門職になる
ここでは、実際によく見られる3つのパターンを紹介します。
どれかひとつでも、
「自分にも起こり得るかもしれない」と感じたら、
少し立ち止まって考える価値はあるはずです。
スキルが更新されず”社内専用人材”になる


管理職を外れ、現場に残る選択をした人の中には、
「今の仕事ができていれば十分」と考える人がいます。
最初のうちは問題ありません。
経験もあり、周囲からも頼られます。
しかし、それも数年です。
業務やツールの変化で自分の強みが過去のものとなり、
より若い人材ににとって代わられます。
- 若手のサポート役
- 誰でもできる調整業務
- 属人的で広がりのない仕事
「今の会社で役割はあるけど、外では通用しない」
そんな社内専用人材になってしまうケースです。



このタイプは、仕事の内容的に今後AIの発展で置き換えられたり、社内の事業見直しの中で廃止になる可能性が高いです。
さらに苦しいのが、その状況に陥ったときに保有スキルや実績の関係上、転職が厳しくなるという事実です。
これらのことからも、リスクの高いケースといえます。
年下上司との関係に疲れ、居場所を失う


出世を外すと、
いずれ年下の上司が誕生します。
これは、ほぼ確実に起こる現実です。
頭では分かっていても、つい態度や行動に出てしまい、
「扱いづらい人」という評価がつくことがあります。
- 判断に口出ししたくなる
- 過去の成功体験を引きずる
- 無意識に態度に出てしまう
実際、私の職場でも
管理職の責任や待遇を「コスパが悪い」と感じ、
早々に出世を見送った先輩がいました。
比較的年の近い先輩で
若い頃は職場で話すことも多かったのですが、
組織変更で疎遠に…
その後も先輩はスタンスを変えず働いていたようですが、
数年後、年下上司のもとで重要な仕事から外され、
徐々に窓際の業務へ。
居づらさから退職を選び、
転職活動は思うように進まず、
最終的には年収ダウンでの再スタートになりました。



“めのめ”と働いてた若い頃は、このままでいいと思ってた。
でも、組織も環境も変わっていくんだよな。
俺が変わらなくても…



……
これは、決して珍しい話ではありません。
管理職を避けた結果、過酷な専門職になる





管理職は向いていないから、自分はスペシャリストでいこう
そう考える人も多いのではないでしょうか?
しかし、真のスペシャリストの道は、
決して楽ではありません。
- 常に最新スキルを学び続ける必要がある
- 若手や新技術との競争にさらされる
- AIや自動化の影響を受けやすい
管理職以上に、
成果と市場価値がシビアに問われます。
もちろん、覚悟を持って選んだ道なら問題ありません。
ただし、
「管理職が嫌だから」という消去法で選ぶと、
後から想像以上の負荷に直面することになります。
未来は”今の判断”の積み重ねで決まる


ここで挙げたのは、
極端な失敗例ではありません。
むしろ、ありふれた現実です。
出世を外した瞬間ではなく、
5年後、10年後に効いてくる。
それが、この選択の怖さなのです。
出世を外す前に立ち止まって考えよう


ここまで読んでいただいて、



やっぱり管理職はきついし、自分には向いていないかもしれない
そう感じた方もいると思います。
その感覚自体は、決しておかしくはありません。
管理職は責任が重く、割に合わないと感じる場面も多い。
実際に、私自身も昇進前に「本当に出世するべきか」と悩んだことがあります。
ただ、それでも私が強くお伝えしたいのは、
今のつらさだけを理由に、出世をキャリアから完全に外してしまう判断は、慎重であってほしい
ということです。
多くの会社では、
出世を外した瞬間に「評価の前提」や「期待される役割」が変わります。
本人の意図とは関係なく、
任される仕事の幅、裁量、そして将来の選択肢が少しずつ狭まっていく。
それは、数年後になってから初めて実感するケースも少なくありません。
私がこれまで見てきた中でも、



若い頃はこの働き方で十分だと思っていた



まさか、こんなに身動きが取れなくなるとは思わなかった
そう振り返る人は一人や二人ではありませんでした。
だからといって、
無理をして管理職を目指したり、続けるべきだと言いたいわけではありません。
大切なのは、リスクとリターンを理解したうえで、自分で選ぶことです。
- 本当に今の会社、この環境でしか通用しないのか
- 管理職そのものが嫌なのか、やり方や評価制度が合っていないだけなのか
- 将来の自分に、どんな選択肢を残しておきたいのか
一度立ち止まって整理してみるだけでも、
「出世を外す」という選択の意味合いは、大きく変わってくるはずです。
今の違和感を大切にしつつ、
その先にある未来まで含めて、
納得できる判断をしてもらえたらと思います。



出世するか、しないか。その答え自体に正解はありません。
ここまで踏まえて、「出世したくない」という判断になった人は、
そう思えない環境…つまり勤め先を見直すことも視野に入れた方がよいかもしれません。


先の自分が納得できる選択を


管理職は楽な道ではありません。
それでも、安易に出世を外すことは、
将来の可能性を狭める選択にもなります。
今の違和感を大切にしながら、
「先の自分が納得できるか」という視点で、
一度立ち止まって考えてみてください。
あなたが将来まで見据えて今を選択する――
この記事が、その手助けになれば嬉しいです。





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