論理的思考だけでは足りない?合理的判断のすゝめ

合理的判断のすゝめ

「ちゃんと説明してるのに、全然伝わらない」
「自分の方が正しいはずなのに、なぜか話が進まない」
「議論を通じて合意形成したいのに、いつも感情論に引っ張られて終わる」

こんなもどかしさを感じたこと、ありませんか?

わたし自身、IT業界でエンジニアとして働き始めてからずっと、論理的に筋道立てて話すことが大事だと思って生きてきました。
でも、ある出来事をきっかけに、“正しさだけでは人は動かない”という現実を痛感しました。

今日は、そんなわたしの経験を交えて
「論理的思考」+「合理的判断」こそが、話し合いを前に進めるカギになるという話をしたいと思います。

目次

結論:説明は論理的に、判断は合理的に

論理的思考力はとても大切です。特にビジネスの場では、筋の通った説明ができることが納得感につながります。

でも、それだけではうまくいかない。
なぜなら、相手は“人間”だから。

感情や関係性、立場、しがらみ──そういった「非論理的」な要素が現実の判断には大きく影響します

だからこそ、論理的に説明するだけでなく、
相手の状況や感情を踏まえた「合理的な判断」ができる力が必要となります。

わたしが体験した“論破の代償”という苦い教訓

◆若手時代の失敗:正しさを押し通し、場の空気を凍らせた日

まだ駆け出しエンジニアの頃、わたしが開発を担当した機能が原因で、担当していたシステムに障害が発生してしまったことがありました。

当然、顧客への謝罪と説明が必要になります。
当時のわたしは「論理的に原因を説明し、対策の有効性を伝えること」が、その場で自分が果たさなくてはいけない役割だと信じて疑いませんでした。

原因、再発防止策、検証結果──すべてしっかりと準備して臨みました。
しかし、ある顧客担当者からの質問に対して、つい焦ってしまいました。

「なぜこういう設計になったのか?」
「その再発防止策で本当に十分と言えるのか?」

理屈で返し続けた結果、気づけば相手の語気も強まり、最終的に「論破」するような形になってしまったのです。

…あの場の空気は、今でも忘れられません。

説明としては正しかった。でも、「信頼を回復し、前に進む」という本来のその場の目的からは完全に逸れていたのです。
その場をなんとか収めてくれたのは、上司のフォローでした。

◆そこから学んだこと:目的にとっての“最善”を選ぶ視点

あの失敗を機に、わたしはこう考えるようになりました。

正しい説明ができた=目的達成ではない

「この行動は、相手との信頼関係を修復する助けになるか?」
「今、求められているのは“説明”か、“安心感”か?」

こうした問いを自分に投げるようになってから、判断の質が変わりました。

最初は、安易に「正論を使いたくなる自分」と戦うことも増えました。
でもそのおかげで、少しずつ「合理的な判断」を軸に行動できるようになり、気づけばクライアントとの折衝やファシリテーションが得意な方にキャリアが進んでいきました。

話がうまく伝わらないときの、わたしのリカバリ術はこちらにまとめています

論理だけじゃなく、合理で前に進め

人は感情に左右される存在

人間は、決して論理だけで動く生き物ではありません。
むしろ、「正しさよりも、安心感や納得感を求める」ことのほうが多いです。

だから、「正しいことを言っているのに伝わらない」と感じたら、
それはあなたの論理が間違っているのではなく、相手が感情的になっているか、
あなた自身が感情的になり、自分の理屈を押し過ぎているかもしれません。
いずれにせよ、状況判断としては非合理になっているサインです。

目的から逆算する「合理的判断」のすすめ

合理的であるとは、目的にとって妥当な手段を選ぶこと。
一貫した正しさの主張よりも、目的達成に必要な行動を柔軟に選ぶことが合理性です。

たとえば…

  • クライアントに信頼される → 論破より共感と安心の提供
  • 会議で合意を得たい → 反論を潰すより、相手の関心ごとを理解する
  • チームの生産性を上げたい → 全員が納得する落とし所を探る

正しさを一歩引いて、「この行動は目的に沿っているか?」と問い直すだけで、選ぶ言葉も行動も変わります。

今日からできる!合理的判断力を鍛える4つのヒント

  1. 人間は感情に左右される存在だと知ろう(自分も相手も)
  2. 「正しいこと」と「目的を果たすこと」は別であると意識しよう
  3. 仕事のたびに、「この行動は何のため?」と目的を言語化してみよう
  4. 成果や意見に対する批判や反論を「自分への攻撃」と思わず、切り離して冷静に受け止めようリスト

おわりに:頑張ること、正しいこと、に固執しなくても成果はだせる

論理的に話せることは、ビジネスパーソンとして大きな武器です。
でも、それだけではどうしても壁にぶつかります。

だからこそ、「正しいかどうか」だけでなく、「目的に沿っているか?」を自分に問いかけてみてください。

合理的に考えられるようになると、自然と無駄な摩擦や消耗が減っていきます。
無駄な仕事・時間を見つけやすくなり、「がんばらなくていいこと」に気づけるようになるということです。

「どうして伝わらないんだろう…」と悩んでいるあなたへ。
論理的思考に加えて、“合理的判断”という新しい視点を取り入れてみませんか?

✨あなたも今日からできること:

  • 仕事で「これは何のためにやってる?」と1つ問いを立ててみる
  • 誰かの反応が感情的でも「人間だしな」と一呼吸おいてみる

それだけでも、少しずつ変わり始めます。最初から完璧を目指す必要はありません。
あなたの努力が、無駄に消耗しないように──その手助けになれたら嬉しいです。

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